公転は反時計回り?──「回る向き」は見る側で決まる
地球の公転は「北極側から見ると反時計回り」。では南極側から見ると? ── 答えは時計回り。
同じ運動なのに、見る側を変えるだけで向きが逆になる。視点を実際に動かして確かめる。
視点を動かして見る
- 左の図が「いま自分(カメラ)がどこから見ているか」。右の図が「その視点から実際に見える公転」。
- 視点スライダーを +90°(北極側)から −90°(南極側)までゆっくり動かす。
- 途中の 0°(真横)で軌道が線に潰れ、通り過ぎると回る向きが逆転するのを確認する。
あなたの視点の位置(横から見たメタ図)
公転面を真横から見た図。カメラ(あなた)が公転面のどちら側にいるかを表す。
その視点から見える公転
カメラに映る像(正射影)。真上・真下では円、斜めでは楕円、真横では線になる。
なぜ逆に見えるのか
運動そのものは1つしかない。地球は宇宙空間の中で、ある決まった向きに太陽を回っている。 変わるのは「回転」を向きとして読み取るときの基準のほうだ。
「時計回り/反時計回り」という言葉は、回転面をどちら側から見るかを決めて初めて意味を持つ。 北極側から見下ろした像と南極側から見上げた像は、互いに鏡写し(左右反転)の関係にある。 鏡の中では回転の向きが逆になるので、同じ公転が一方からは反時計回り、もう一方からは時計回りに見える。
上のシミュレーターで視点を +90° から −90° まで連続的に動かすと、軌道の見え方は 円 → 楕円 → 線 → 楕円(裏返し) → 円 と変わる。 ちょうど真横(0°)を通過する瞬間に「手前を通る半周」と「奥を通る半周」の見え方が入れ替わり、回る向きが逆転する。 どこかで運動が変わったわけではなく、見る側が公転面の反対側へ回り込んだだけである。
時計でたしかめる
身近な例が時計だ。文字盤を正面から見れば針は時計回り。 だが時計を透明にして裏側から見れば、同じ針の動きが反時計回りに見える。 針の運動は1つでも、「向き」は見る側で決まる。
2つの時計は同じ針の動きを表と裏から見たもの。裏から見ると「3」が左に来る(鏡写し)ことにも注目。
天文学の慣例 ──「北極側から見て反時計回り」
向きが視点しだいで変わるなら、天文学ではどう記述するのか。答えは視点を先に固定してしまうこと。 慣例として「地球の北極側(天の北極側)から見下ろす」視点を基準にし、その視点で反時計回りの回転を順行と呼ぶ。
- 地球の公転: 北極側から見て反時計回り(順行)
- 地球の自転: 同じく反時計回り。だから太陽は東から昇る
- 月の公転、太陽系のほとんどの天体の公転・自転も同じ向き
そろって同じ向きなのは偶然ではなく、太陽系が1つの回転するガス円盤から生まれ、その角運動量の向きを全員が引き継いでいるため。 だからこそ「北極側から見て反時計回り」という1つの約束で、太陽系の大半の運動を統一的に記述できる。
アナレンマのページの「① 公転軌道(俯瞰)」が反時計回りに描かれているのは、この慣例どおり「北極側から」見た図だから。 もし南極側から描けば、同じ公転が時計回りになる ── それがこのページで確かめたことだ。