消費税の経理処理コース

「この取引、課税? 非課税?」——経理の現場で毎日発生する消費税の判断を、 読む → 試す → 間違える → わかる の順で身につける教材です。全5セクション・演習24問。回答はブラウザに保存されるので、途中でやめても続きから再開できます。

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1. 消費税のしくみと課税の4要件

すべての判定はこの4要件から始まる。取引を「課税・非課税・免税・不課税」の4つに振り分ける全体マップを最初に頭に入れる。

消費税が課税されるのは、次の4要件をすべて満たす取引です。1つでも欠けると「不課税(課税対象外)」になります。

  1. 国内において行うものであること(国外で完結する取引は対象外)
  2. 事業者が事業として行うものであること(個人の生活用資産の売却は対象外。法人の行為はすべて「事業として」)
  3. 対価を得て行うものであること(配当金・保険金・補助金・寄付など対価性のないものは対象外)
  4. 資産の譲渡・貸付け・役務の提供であること(給与は雇用契約に基づくためここから外れる)

4要件を通過した取引は、さらに次の3段階で振り分けられます。

STEP 1

4要件を満たすか? → 満たさなければ不課税(給与・配当・国外取引など)

STEP 2

限定列挙の15項目に当たるか? → 当たれば非課税(土地・住宅家賃・利子・保険料など)

STEP 3

輸出取引か? → 輸出なら免税(税率0%)、それ以外が通常の課税取引(10% / 軽減8%)

この STEP 1 → 2 → 3 の順番で判定するのがコツです。順番を守れば「給与は非課税?」のような混乱が起きません。

演習 1判定

運送会社が事業で使っていたトラック1台を200万円で売却した。この取引の消費税区分は?

演習 2判定

会社が従業員に給与30万円を支払った。この取引の消費税区分は?

演習 3判定

保有する取引先株式について配当金50万円を受け取った。この取引の消費税区分は?

演習 4判定

国内メーカーが自社製品を米国の会社に輸出販売した。この取引の消費税区分は?

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2. 非課税・免税・不課税の違い

3つは「税がかからない」点で似ているが、課税売上高の判定と仕入税額控除で実務上の扱いがまったく違う。ひっかけの主戦場。

3つの違いは「性質」と「実務への影響」の両面で整理します。

不課税非課税免税
性質4要件を満たさない(土俵の外)4要件は満たすが、政策・性格上課税しない15項目の限定列挙課税取引だが税率0%(輸出取引など)
代表例給与、配当金、寄付、国外取引土地の譲渡・貸付け、住宅の貸付け、利子・保険料、切手・商品券製品の輸出、国際輸送
課税売上高(1,000万円判定)含めない含めない含める
対応する仕入の税額控除原則できないできる(還付が発生しやすい)

「免税と非課税はどちらも税額ゼロ」でも、課税売上高に入るか・仕入税額控除ができるかがまったく違います。輸出企業に還付が発生するのは、免税が「0%で課税する」建て付けだからです。

演習 5判定

自社ビルの一室を「事務所用」として月20万円で貸した場合と、所有アパートを「住宅用」として月8万円で貸した場合。消費税区分の正しい組み合わせは?

演習 6判定

更地を月極でそのまま貸した場合と、アスファルト舗装して区画を整備した駐車場として貸した場合。消費税区分の正しい組み合わせは?

演習 7判定

土地付建物(建物2,200万円・土地3,000万円)を売却した場合と、同じ物件を丸ごと事務所用に貸した場合。消費税の扱いとして正しいものは?

演習 8判定

国外で商品を仕入れ、日本を経由せず国外の顧客へ直接販売した(三国間貿易)。この売上の消費税区分は?

演習 9判定

前々期の売上の内訳が「国内課税売上 200万円+輸出売上 900万円+住宅家賃収入 300万円」だった。基準期間の課税売上高による納税義務の判定は?(1,000万円超で課税事業者)

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3. 税込経理と税抜経理の仕訳

同じ取引でも経理方式で仕訳が変わる。仮払・仮受消費税の動きと期末精算、そして方式選択が損益に波及するポイントを押さえる。

経理方式は事業者が任意に選べます(会計システムの基本設定で決まります)。ただし免税事業者は税込経理しか使えません

税込経理方式税抜経理方式
日々の仕訳税込金額をそのまま損益に計上(単純)本体と仮払消費税等/仮受消費税等に区分
決算時納付税額を租税公課で計上仮受と仮払を相殺し未払消費税等へ振替。端数差額は雑収入・雑損失
金額基準の判定税込金額で判定(30万円未満の少額資産・交際費などで不利になりやすい)税抜金額で判定

経理方式は「見た目の違い」に留まりません。少額減価償却資産の30万円判定などの税務判定の金額基準まで変わるのがポイントです。

演習 10仕訳

商品を税込110万円(税率10%)で掛仕入した。「税抜経理方式」の仕訳として正しいものは?

演習 11仕訳

同じ取引(商品を税込110万円で掛仕入)を「税込経理方式」で起票すると?

演習 12仕訳

税抜経理の決算整理。期末の残高は仮受消費税等 180万円・仮払消費税等 130万円で、申告書上の納付税額は 499,900円(端数切捨てのため100円のズレ)だった。正しい精算仕訳は?

演習 13仕訳

税込経理の会社の決算で、当期の消費税の納付税額が60万円と確定した(決算時に未払計上する方針)。正しい仕訳は?

演習 14判定

応接セットを税抜28万円(税込30.8万円)で購入した。少額減価償却資産の特例(取得価額30万円未満)を適用できるかは経理方式でどう変わる?

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4. 仕入税額控除とインボイス

納付税額を減らす仕入税額控除には帳簿とインボイスの保存が要件。免税事業者からの仕入の経過措置と帳簿のみ特例が実務の急所。

納付税額は「売上で預かった消費税 − 仕入等で支払った消費税」。この引き算が仕入税額控除で、控除には原則として 帳簿とインボイス(適格請求書)の両方の保存が要件です。

  • インボイスを発行できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者だけ(登録番号・税率ごとの対価・消費税額等の記載が必要)
  • 免税事業者など未登録の相手からの仕入は原則控除不可。ただし経過措置で80%→50%を期間限定で控除できる
  • 帳簿のみ特例: 3万円未満の自動販売機・自動サービス機、ポスト投函の郵便、実費相当の出張旅費・日当・通勤手当などはインボイス不要
  • 課税売上割合95%以上かつ課税売上高5億円以下なら全額控除。超えると個別対応方式(用途区分3分類)か一括比例配分方式で按分
演習 15判定

当社(課税事業者・原則課税)が仕入税額控除を受けるための保存要件として正しいものは?

演習 16仕訳

インボイス登録をしていない免税事業者の外注先に、税込55万円(税率10%相当)の外注費を支払った。80%控除の経過措置期間中、税抜経理での起票として正しいものは?(控除できない部分は本体価格に含める処理)

演習 17判定

次のうち、インボイスの保存がなくても帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるものはどれ?

演習 18仕訳

従業員に給与30万円と通勤手当2万円(実費相当・電車通勤)を普通預金から支給した。消費税区分として正しい起票は?

演習 19判定

工場が火災に遭い、受け取った保険金1,000万円を原資に機械800万円(税抜)を購入した。この機械の仕入税額控除は?

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5. 納税額の計算方式(原則・簡易・2割特例)

同じ売上・仕入でも計算方式で納付額が変わる。3方式の適用条件と有利判定の考え方を比較で理解する。

本則課税(原則)簡易課税2割特例
計算式売上税額 − 実際の仕入税額売上税額 −(売上税額 × みなし仕入率)売上税額 × 20%
適用条件誰でも(原則)基準期間の課税売上高5,000万円以下+事前届出(2年継続)インボイス登録が原因で課税事業者になった年のみ(届出不要・申告時選択)
向いている事業者設備投資・仕入が多い、還付を受けたい実際の仕入が少ない業種(みなし仕入率90%〜40%)仕入の少ない小規模サービス業など

同じ売上・仕入でも方式で納付額が数倍変わることがあります。簡易課税は届出のタイミング(適用課税期間の開始前)を逃すと使えないため、届出失念が実務トラブルの最頻出ポイントです。

演習 20判定

簡易課税制度を適用するための要件として正しい組み合わせは?

演習 21計算

小売業(簡易課税・第2種、みなし仕入率80%)で、課税売上の消費税額(売上税額)が80万円だった。簡易課税での納付税額は?

演習 22判定

2割特例(納付税額を売上税額の2割にできる特例)を適用できるのは次のうちどれ?

演習 23判定

みなし仕入率の事業区分。「仕入れた食材を調理して店内で提供する飲食店」と「仕入れた商品をそのまま事業者に販売する会社」の正しい組み合わせは?

演習 24計算

インボイス登録で課税事業者になったデザイン事務所(サービス業=簡易課税なら第5種・みなし仕入率50%)。課税売上の消費税額80万円・実際の課税仕入の消費税額30万円のとき、納付税額が最も少ない計算方式は?

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本教材は学習用に論点を単純化しています(税率は標準10%のみ、地方消費税の内訳や端数処理の詳細は省略)。実務の適用判断は最新の法令・国税庁の公表情報でご確認ください。