コイル比較 — 自作コイルとモーターはどれくらい違うのか
発電量を決めるのは4つの数だけ。巻き数・面積・磁石の強さ・動く速さ。ファラデーの式に入れて、手巻きコイルとモーター内部のコイルを並べて比べる。
基本の式(ファラデーの電磁誘導の法則)
V = N × A × ΔB / Δt
- V
- 発生する電圧(ボルト)
- N
- コイルの巻き数
- A
- コイルを実際に貫く磁力の面積(m²)
- ΔB/Δt
- コイルを貫く磁力が、どれだけ速く変わるか
最後の項が「磁石を動かす」部分にあたる。動かし方によって形が変わる。
出し入れ式 V = N × A × (ΔB/Δx) × v
回転式 V = N × B × A × ω
v = 動かす速さ(m/s)、ω = 回転の速さ(rad/s)、ΔB/Δx = 磁石の端で磁力がどれだけ急に変わるか
自作コイル / 磁石を出し入れする
エナメル線の長さ—
線の抵抗(0.4mm)—
コイルの見かけ面積—
実際に効く面積—
モーターのコイル / 回転する
エナメル線の長さ—
線の抵抗(0.15mm)—
回転子の周速—
磁石との隙間0.5 mm 以下
発電力の比
0 倍
棒グラフは対数目盛。差が数十倍あるため、同じ目盛では自作コイル側が見えなくなる。
直径を大きくしても、電圧は増えない
「コイル直径」のスライダーを大きくしてみてほしい。エナメル線の長さも、見かけの面積もどんどん増えるのに、電圧はむしろ下がる。式の上では面積が効くはずなのに、なぜか。
式の A は「コイルが囲む面積」ではなく、正確には「コイルを実際に貫いている磁力の面積」だからだ。磁石より外側には磁力がほとんど来ていないので、いくら輪を大きくしてもそこは空振りする。磁石より広げた分は、線を無駄に使っているだけになる。
逆に直径を磁石ぎりぎりまで縮めると電圧が上がる。同じ線の長さでも巻き数を多く稼げるうえ、磁石との隙間が詰まって磁力の取りこぼしが減るからだ。
エナメル線の長さが意味するもの
線の長さは電圧を生む原因ではない。生むのは「巻き数 × 貫く磁力」で、線の長さはその結果として決まる数値にすぎない。同じ長さの線でも、細い筒に巻けば巻き数が増えて有利、太い筒に巻けば巻き数が減って不利になる。
長さがはっきり効いてくるのは抵抗のほうだ。線が長いほど抵抗が増え、同じ電圧でも流れる電流が減る。川の例えでいえば、高低差は同じでも川が細く長くなるので、流れる水の量が減る。
なぜモーターは数十倍強いのか
- 磁石との距離 — 隙間0.5mm以下。磁力は距離で急激に落ちるので、ここが決定的
- 鉄芯 — 回転子の鉄が磁力を吸い寄せて集める。空芯の自作コイルにはこの助けがない
- 速さ — 手で秒速0.5m程度。モーターはギア増速で毎秒20回転以上。桁が違う
「動かす速さ」だけを最大まで上げても届かない。速さだけでは埋まらない差がある。
数式を実験の予測に使う
この式のいいところは、作る前に結果を予測できることにある。自由研究としては、ここを見せると一段深くなる。
- 巻き数を2倍にすると、式の上では電圧も2倍。実際にそうなるか確かめる
- コイル直径を変えると、式の予測と実測がずれる。そのずれの理由を説明できれば、それが一番いい考察になる
- 予測値と実測の手ごたえを並べて記録しておく