Korea Chip Exports
韓国 半導体月次輸出の推移
韓国産業通商資源部(MOTIE)が毎月1日に発表する半導体品目の月次輸出額と前年同月比を追う(2024-01〜)。 半導体は韓国全体輸出の約21〜25%を占め、Samsung + SK Hynix の出荷が大半。 SK Hynix は四半期数値ガイダンスを出さないため、この月次輸出が事実上の四半期売上の先行指標として機能する (アナリストのコンセンサスが高精度で当たる主因のひとつ)。
半導体月次輸出と前年同月比単位: USD billion・直近29ヶ月・過去最高は 2026-05
品目別の内訳(DRAM・NAND・MCP)関税庁 HSK 10桁・通関ベース・表示は2024-01〜2026-04(データは2018-01から保持)
関税庁(KCS)の品目別輸出統計から、メモリ3品目の長期系列を月次で追う。 MCP(複合構造チップ、HSK 8542.32.3000)には HBM が含まれる(HBM 単独の HS コードはないため、MCP が HBM 出荷の代理指標になる)。 品目別の確定値は翌月15日頃の公表で、MOTIE の毎月1日発表(上のチャート)より約2週間遅れる。
関税庁統計には金額のほかに輸出重量(kg)がある。半導体の申告数量単位は個数ではなく重量なので、 これが「数量」のいちばん近い代理変数になる。上の金額バーは「重量 × 単価(下のチャート)」に分解できる。 DRAM は重量がほぼ横ばい(2024-01 の 128.9トン → 2026-04 の 139.1トン)で、金額の伸びのほとんどが単価。 一方 MCP は重量自体も 6 割増えており、HBM の物量増と単価上昇の両輪で金額が伸びている。
同じ統計の輸出重量(kg)で金額を割ると、重量基準の輸出単価($/kg)が出せる。 MCP の単価は 2024-01 の約 $28,000/kg から 2026-04 には $72,701/kg まで上昇しており (ボトムは 2023 年半ばの約 $15,000/kg)、 同じ「1kg のチップ」の中身が HBM のような高単価品へ入れ替わっていること(ミックスシフト)を示す。 製品価格の上昇と高付加価値化の両方がここに現れる。
数量と金額 — 集積回路(HS 8542)全体関税庁・通関ベース・表示は2024-01〜2026-04(データは2018-01から保持)
「輸出数量は減っているのに金額が急増(value over volume)」という報道を、関税庁の集積回路(HS 8542)全体の系列で確かめる。 2026-04 の輸出金額 $25.24B(前年比 +158.2%)に対して、 数量の代理変数である輸出重量は 1,747トン(前年比 +9.9%)とほぼ横ばい。 金額の伸びのほとんどは重量基準単価($14,449/kg)の上昇、つまり「同じ物量がより高く売れている」ことで説明できる。 なお報道で引用される KITA 基準の「半導体」数量(2026-04: 3,242トン・前年比 -11.9%)はウェーハ・部品等を含む広い分類で、 数量減はその周辺品目側の動き。IC 本体に絞った本チャートでは数量はむしろ微増している。
一方、報道と同じ「広い半導体」(신성질별 3401。集積回路に加えて太陽電池などの個別素子・シリコンウェーハを含む)の重量を 2018年から並べると、まったく別の絵になる。この分類の金額は MOTIE 発表の「半導体」(本ページ最上段のチャート)と一致するが (2024-01以降の28ヶ月で最大差 $0.05B)、重量は 2022-12(29,998トン) をピークに 2026-04 の 6,541トン(前年比 +16.1%)まで構造的に減っている。 重量の大半を占めていたウェーハ・個別素子(太陽電池等)の縮小が支配的で、チップ本体の物量(上のチャート)とは動きが違う。 「半導体の輸出数量が減っている」という見出しは、実際にはこの周辺品目の重量減を見ている。
月次データ単位: USD billion・新しい月が上
| 月 | 輸出額 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 2026-05 | $37.16B | +169.4% |
| 2026-04 | $31.90B | +173.5% |
| 2026-03 | $32.84B | +151.4% |
| 2026-02 | $25.16B | +160.8% |
| 2026-01 | $20.54B | +102.7% |
| 2025-12 | $20.77B | +43.2% |
| 2025-11 | $17.30B | +38.6% |
| 2025-10 | $15.73B | +25.4% |
| 2025-09 | $16.61B | +22.0% |
| 2025-08 | $15.10B | +27.1% |
| 2025-07 | $14.71B | +31.6% |
| 2025-06 | $14.97B | +11.6% |
| 2025-05 | $13.80B | +21.2% |
| 2025-04 | $11.70B | +17.2% |
| 2025-03 | $13.10B | +11.9% |
| 2025-02 | $9.60B | -3.0% |
| 2025-01 | $10.10B | +8.1% |
| 2024-12 | $14.50B | +31.5% |
| 2024-11 | $12.50B | +30.8% |
| 2024-10 | $12.50B | +40.3% |
| 2024-09 | $13.63B | +37.1% |
| 2024-08 | $11.88B | +38.8% |
| 2024-07 | $11.20B | +50.4% |
| 2024-06 | $13.42B | +50.9% |
| 2024-05 | $11.38B | +54.5% |
| 2024-04 | $9.96B | +56.1% |
| 2024-03 | $11.67B | +35.7% |
| 2024-02 | $9.95B | +66.7% |
| 2024-01 | $9.37B | +56.2% |
出所・注記
- MOTIE(韓国産業通商資源部)は毎月 1日に前月の輸出統計(月次「輸出入動向」)を発表、관세청(Korea Customs Service)は 1〜10日/1〜20日の旬報も別途公表。本表は月次確報のみで旬報・MSIT の ICT 輸出系列は不採用。
- 半導体輸出は韓国全体輸出の約 21〜25% を占め、Samsung + SK Hynix の合算が大半。両社の四半期売上は半導体月次輸出から逆算可能。
- 2025-02(-3.0%)はメモリ価格急落で 2023-10 以来の前年割れ。2025-03 から 2026-05 まで再び連続プラスで、2026 年は HBM・サーバ DRAM 価格高騰により前年比 +100〜170% の異常な伸びが継続。
- 2026-05 の $37.16B は月次の歴代最高。2026-01〜03 の四半期合計 $78.54B(+138%)も四半期として歴代最高。
- 1〜2月は旧正月(설날)のカレンダー効果で歪む(2025-01 の +8.1% は旧正月が1月29日だった影響)。台湾と同様、単月YoYではなく1+2月合算で評価する。
- 品目別の内訳は関税庁(KCS)수출입무역통계(tradedata.go.kr)の品目別輸出実績(HSK 10桁・수리일=輸出申告受理日基準)。DRAM=8542.32.1010、NAND・フラッシュ=8542.32.1030、MCP(複合構造チップ・HBM含む)=8542.32.3000。品目別確定値は翌月15日頃公表。
- 品目別の集計(KCS・HSK)と上段の半導体合計(MOTIE 発表)は品目範囲・集計基準が異なるため一致しない。3品目合計は半導体輸出全体のおおむね6割。
- 重量基準輸出単価($/kg)=輸出金額 ÷ 輸出重量。同一品目内の製品ミックス(例: MCP に占める HBM 比率)と価格の変化を反映する。
- 「数量と金額」セクションの集積回路全体は同じ関税庁統計を HS 4桁(8542・전자집적회로)で照会した系列。KITA が報じる「半導体」輸出数量(TrendForce 等が引用。2026-04 は 3,242トン・前年比 -11.9%)は KITA の MTI 分類(831)による集計のため、本系列(同月 1,747トン・前年比 +9.9%)とは水準・符号とも異なる。
- 「半導体全体」の重量系列は関税庁の신성질별(新性質別)分類 3401「반도체」(340101 集積回路+340102 個別素子+340103 シリコンウェーハ)。この分類の輸出金額は MOTIE 発表の「半導体」輸出(最上段チャート)と一致する(2024-01〜2026-04 の28ヶ月で最大差 $0.05B)ため、MOTIE 系列の「数量側」として読める。