子どもに教えられる算数 — 📊 数量関係編 / 第9章(全12章)

💯 割合

割合は小学算数最大のつまずきポイントです。公式の暗記ではなく「もとにする量を1とみたとき、比べられる量はいくつにあたるか」という見方を軸に、百分率・歩合まで通します。

小5年〜

割合は「もとにする量を1とみる」見方

割合は、小学算数でいちばん奥が深く、いちばん多くの子がつまずく単元です。 定義は一文——「もとにする量を1とみたとき、比べられる量がいくつにあたるか」。 この「1とみる」という発想が、すべての出発点です。

割合は「もとにする量を1とみたとき、いくつにあたるか」 例: 「56kgは80kgの□倍」もとにする量 80kg= 1とみる比べられる量 56kg= 0.7にあたる00.50.71 割合 = 比べられる量 ÷ もとにする量 = 56 ÷ 80 = 0.7
図: 割合の線分図。「÷もとにする量」は、もとにする量を1に縮める操作

56kgは80kgの何倍か。80kgのテープを「1」まで縮めて見ると、56kgは0.7の位置に来ます。 「÷もとにする量」という計算は、もとにする量を1に縮める操作なのです。 第8章の「1あたり」と地続きであることにも注目—— 単位量あたりが「1個・1mあたり」なら、割合は「もとにする量1あたり」。 新しい話ではなく、同じ考え方の続きです。

参考: 原書 p.227

小5年〜

「もとにする量」と「比べられる量」の見分け方

割合の問題が解けない原因のほとんどは、計算ではなく 「どれがもとにする量で、どれが比べられる量か」の見分けです。 信頼できる手がかりは助詞——「の」の直前がもとにする量です。

「〜の」の直前にあるのが、1とみる「もとにする量」 例: 「AはBの0.6倍」——もとにする量はどっち?AB0.6倍「の」の直前のBが、1とみる「もとにする量」B=もとにする量1とみるA=比べられる量0.6にあたる00.61 見分けの目印は助詞——「〜の」の直前が、1とみる「もとにする量」
図: 「〜の」の直前にあるのが、1とみる「もとにする量」
  • 「56kgは 80kgの 0.7倍」→ 「の」の前の80kgがもとにする量
  • 定価の 3割引き」→ もとにする量は定価
  • 昨年の 120%」→ もとにする量は昨年

残った量が比べられる量、「〜倍」「〜%」「〜割」とついた数が割合です。 問題文に印をつける(「の」の前に下線)だけで、正答率は目に見えて変わります。

参考: 原書 p.232

小5年〜

割合の3公式は「く・も・わ」の図1枚で済む

割合の3公式(3用法)は、①割合=比べられる量÷もとにする量、 ②比べられる量=もとにする量×割合、③もとにする量=比べられる量÷割合。 3本も覚えるのは大変ですが、実は「く・も・わ」の図1枚に圧縮できます。 上に「く」、下に「も」と「わ」を並べ、求めたいものを指で隠すと残りが式になる—— 「く」を隠せば「も×わ」、「わ」を隠せば「く÷も」。

🎛️ く・も・わラボ — 求めたいものを隠すと公式が浮かぶ

求めたいもの(指で隠すところ)を選ぶ:

比べられる量 = もとにする量 × 割合 = 80 × 0.7 = 56

この割合の着替え: 小数 0.7 = 70% = 7割。 割合が1(100%)を超えると「く」が「も」より長くなる——増えた場合も同じ式で扱える。

上の教具で「求めたいもの」を切り替えながらスライダーを動かしてみてください。 とくに割合が1(100%)を超えるケース——比べられる量がもとにする量より長くなる——を 見せられるのが、図だけの「くもわ」に対する教具の強みです。 なお、くもわはあくまで補助輪で、本体は前セクションの「1とみる」の理解。 補助輪だけ与えると、見分けを間違えたまま正しく計算する事故が起きます。

参考: 原書 p.235

小5年〜

割合の文章題は「の」と「は」に印をつけて解く

見分けと公式が揃えば、文章題は2ステップの作業になります。 ①「の」と「は」に印をつけて、く・も・わを見分ける → ②3用法で計算する

「の」と「は」に印をつけると、く・も・わの配役が決まる 例題: 「定員40人の120%は何人?」定員40人120%何人?「の」の直前も=40人「は」の直前の%わ=120%→1.2「は」の後ろく=何人(求める) く = も × わ = 40 × 1.2 = 48人 「の」と「は」に印をつければ、3つの量の配役が決まり式は1本に決まる
図: 「の」と「は」に印をつけると3つの量の配役が決まる

もう1つの道: 「は」を「=」、「の」を「×」に置き換える

「56kgは80kgの□倍です」を記号に置き換えると「56 = 80 × □」。 これを逆算すれば□=56÷80=0.7。 「○は□の〜倍」型の文なら、「は」→「=」、「の」→「×」の機械的な置き換えで 式が立ちます。見分けに自信がない子には、この置き換え方式のほうが安定することもあります。 2つの道のどちらでも同じ式に着くことを確かめさせると、理解が立体的になります。

参考: 原書 p.238

小5年〜

百分率と歩合は割合の着替え(0.3 = 30% = 3割)

0.7倍、70%、7割——これらは全部同じ数です。 百分率は割合を×100した呼び方(1=100%)、 歩合は×10した呼び方(1=10割。野球の打率でおなじみ)。

百分率も歩合も「同じ割合の着替え」——×100で%、×10で割 小数の割合(×1)百分率(×100)歩合(×10)1100%10割0.770%7割0.3535%3割5分0.10810.8%1割8厘 計算するときは小数に着替えてから——「30%引き」は ×(1−0.3) の一手
図: 小数・百分率・歩合の対応。打率「3割5分」と「35%」と「0.35」は同じ数

「なぜわざわざ3つもあるの?」と聞かれたら、「場面ごとの服」と答えましょう。 計算には小数が、お店の表示には%が、野球には割がなじむ——中身は1つ、服が3着。 変換は機械的に、小数→%は小数点を右に2つ、%→小数は左に2つ。 第3章でやった小数点の移動が、ここでも現役です。

参考: 原書 p.243

小5年〜

百分率・歩合の文章題は小数の割合に直してから

百分率・歩合の文章題の鉄則は1つ——計算の前に小数の割合に着替える。 「2000円の30%引きは?」なら、30%→0.3に直してから式を立てます。

%と歩合は、計算の前に小数の割合へ着替えさせる 百分率歩合小数の割合30%3割0.325%2割5分0.25%は÷100、歩合は1割=0.1・1分=0.01で小数へ——呼び方がちがうだけの同じ数文章題に出てくる30%・3割小数の割合に直す0.3それから式へく = も × わ 式に入れてよいのは小数の割合だけ——%・歩合のまま計算しない
図: %と歩合は計算前に小数へ着替えさせる

「引き」「増し」は1からの増減で1本の式に

  • 30%引き → ×(1−0.3) = 2000×0.7 = 1400円
  • 2割増し → ×(1+0.2) = もとにする量×1.2

「30%引き」を「30%を求めて引く」と2段で計算しても正解ですが、 ×0.7の1段で済ませる型を持っておくと、消費税(×1.1)や 「定価の2割引きの、さらに半額」のような重ね掛けにも式のまま対応できます。 ここまで来れば、割合は日常の値札を読む実用品です。

参考: 原書 p.248

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