わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方 — 第5章(全8章)
🏢 区分建物に関する登記 — マンションの登記簿
マンションは「一棟」と「部屋」の2段重ね。敷地権で土地とセットになる仕組み、共用部分の登記、区分・再区分・合併で姿が変わるときの記録を見る。
出典: 『わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方(6訂版)』日本法令(p.362〜387)。記録例は原本の帳票レイアウトを再現しつつ、内容を正規化データで管理している。
凡例: 記録例の中の下線は「抹消事項」=後の登記で効力を失った記録(登記簿は消さずに線を引いて歴史を残す)
分譲マンションのことを、登記の世界では区分建物(くぶんたてもの)と呼びます。 マンションの一室を買うと、登記簿はどうなるのでしょうか。一戸建てと違って、 マンションには「建物全体」と「自分の部屋」という2つの顔があり、さらに 「建物の下の土地」が部屋とセット販売されるという特別ルールがあります。 この章では、マンションの登記簿の2段重ね構造と敷地権(しきちけん)の仕組みを入口に、 共用部分の登記、建物を区分・再区分したときの記録、区分建物が普通の建物に戻るときの記録、 そして「建物のみに関する」という謎の付記まで、第5章をまるごと読み解きます。
区分建物と敷地権 — 部屋と土地はセット販売
区分建物とは、分譲マンションのような集合住宅のことと思ってください (二世帯住宅のような小さな建物を区分建物として登記することもあります)。 区分建物といえるためには、2つの要件が必要です。
- 一棟の建物の中に、構造上・利用上独立した建物が数個あること。 出入口が独立していて、各部屋を勝手に行き来できないこと。この独立した各部屋を専有部分(せんゆうぶぶん)といいます。
- 所有者に「区分建物として所有する」意思があること。 賃貸マンションやアパートのように、部屋が独立していても区分建物として登記しない建物もあります。 区分登記するかどうかは所有者の自由です。
「一体化しています」の意味 — 敷地利用権と敷地権
マンションを買う人は、部屋だけでなく、マンションの敷地の「何分のいくつか」も一緒に買うのが普通です。 この土地に対する分数の権利を持分(もちぶん)といいます。 そして建物を建てるために敷地を利用する権利(所有権・地上権・賃借権など)を 敷地利用権(しきちりようけん)と呼びます。
区分所有者は、原則として、専有部分と敷地利用権を分離して処分できません(区分所有法22条1項)。 部屋と土地の持分は一体で売買し、一体で担保に入れなさい、というルールです。 この「登記された所有権・地上権・賃借権であって、建物と分離して処分できないもの」を 敷地権といいます(法44条1項9号)。 おかし売り場の「セット販売・バラ売り不可」のシールが、部屋と土地に貼られているイメージです。 登記所の窓口で聞く「このマンションは一体化しています」とは、この状態のことです。
一体化しているマンションでは、専有部分の登記簿に持分割合が「敷地権の割合」として記録されるので、 建物の登記事項証明書を1通取れば、土地の権利関係まで通常は用が足ります。 なお、公正証書または規約で「分離処分可能規約」を設定して、あえて一体化させないこともできます。 二世帯住宅などは一体化させるメリットが少ないでしょう。
区分建物の登記簿は2段重ねのプロフィール帳
区分建物の登記簿の構成は、普通の土地・建物と違って、表題部が2段重ねになります(規則4条、同別表3)。
クラス全員のプロフィール帳の先頭に「クラス全体の紹介ページ」が綴じてあって、 その後ろに自分のページが続く、という2段重ねです。権利部(甲区・乙区)に記録される内容は、 土地や非区分建物と同じです。
新築の場合 — マンションが生まれた日の登記簿
一棟の建物の表題部(記録例1)
まずは原本の見た目そのまま。一体化されている(敷地権付き)区分建物における、 一棟の建物の表題部です。
| 専有部分の家屋番号 | 8-1-101~8-1-110 8-1-201~8-1-210 8-1-301~8-1-305 | ||||
| 表 題 部(一棟の建物の表示) | 調製 | 余白 | 所在図番号 | 余白 | |
| 所 在 | ○区○町三丁目 8番地1 | 余白 | |||
| 建物の名称 | ○○マンション | 余白 | |||
| ① 構 造 | ② 床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | |||
| 鉄筋コンクリート造陸屋根 地下1階付き3階建 | 1階 1000.72 2階 1000.72 3階 700.03 地下1階 700.00 | 〔令和○年3月6日〕 | |||
| 表 題 部(敷地権の目的である土地の表示) | |||||
| ①土地の符号 | ②所在及び地番 | ③地 目 | ④地 積 ㎡ | 登記の日付 | |
| 1 | ○区○町三丁目8番1 | 宅地 | 1000.00 | 令和○年3月6日 | |
| 2 | ○区○町三丁目8番5 | 宅地 | 400.00 | 令和○年3月6日 | |
* 床面積・地積の小数部は、原本では小数点を打たず少し離して印字される(ここでは読みやすさのため小数点で表記)。
同じ内容を「項目・記録内容・やさしく言うと」に分解すると、こうなります。
一棟の建物の表題部(新築・記録例1)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 専有部分の家屋番号 | 8-1-101~8-1-110 / 8-1-201~8-1-210 / 8-1-301~8-1-305 | このマンションに入っている全部屋の番号リスト |
| 所在 (しょざい) | ○区○町三丁目 8番地1 | 実際に建っている土地(法定敷地)の地番。規約敷地(8番5)はここには書かれない |
| 建物の名称 | ○○マンション | マンションの名前。名前を定めた場合に記録される |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根 地下1階付き3階建 | 建物全体が何でできていて、屋根は何で、何階建てか |
| 床面積 (ゆかめんせき) | 1階 1000.72㎡ / 2階 1000.72㎡ / 3階 700.03㎡ / 地下1階 700.00㎡ | 廊下やエレベーターなどの共用部分も含むので、全部屋の床面積の合計より大きくなる |
| 原因及びその日付〔登記の日付〕 | 〔令和○年3月6日〕 | 一棟の建物には新築年月日は記録されない。〔 〕の中は登記が完了した日(申請した日ではない) |
| 敷地権の目的である土地 (しきちけん) | 符号1: 8番1 宅地 1000.00㎡ / 符号2: 8番5 宅地 400.00㎡ | 部屋とセット販売される土地のリスト。符号は部屋側の登記から土地を指すための背番号 |
読みどころは3つあります。第一に、床面積には共用部分も含まれるので、 専有部分の床面積を全部足した数より大きくなります。第二に、 一棟の建物には新築年月日が記録されません。原因欄には〔登記の日付〕だけが入ります。 第三に、登記の日付は申請した日ではなく、実際に登記が完了した日です。
法定敷地と規約敷地 — 「8番5」はどこにある土地?
敷地権の目的である土地には、2種類あります。
| 種類 | 意味 | 記録例1での見分け方 |
|---|---|---|
| 法定敷地(ほうていしきち) | 区分建物が実際に建っている土地(底地) | 8番1は「所在」欄に載っている → 建物が建っている法定敷地 |
| 規約敷地(きやくしきち) | 庭・通路・駐車場・テニスコートなど、規約により建物の敷地とされた土地(区分所有法5条)。法定敷地と隣接していなくてもよい | 8番5は「所在」欄に載っていない → 規約敷地 |
所在欄には法定敷地(底地)だけを記録し、底地が二筆以上あれば全部を登記します。 規約敷地は所在欄には記録されません。だから、敷地権の目的である土地の表示に出てくる地番を 所在欄と見比べれば、どれが建物の真下の土地で、どれが駐車場などのオマケの土地かが読み取れるのです。
専有部分の表題部(記録例2)
次は自分の部屋、101号室のページです。上半分が部屋のプロフィール、 下半分がセット販売される土地(敷地権の表示)です。
| 表 題 部(専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | 0123456789014 | |||
| 家屋番号 | ○町三丁目 8番1の101 | 余白 | |||
| 建物の名称 | 101 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 鉄筋コンクリート造1階建 | 1階部分 45.70 | 令和○年2月25日新築 〔令和○年3月6日〕 | ||
| 表 題 部(敷地権の表示) | |||||
| ①土地の符号 | ②敷地権の種類 | ③敷地権の割合 | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 1 | 所有権 | 1000分の7 | 令和○年2月25日敷地権 〔令和○年3月6日〕 | ||
| 2 | 所有権 | 1000分の7 | 令和○年2月25日敷地権 〔令和○年3月6日〕 | ||
| 所有者 | 甲市乙町二丁目1番5号 株式会社甲建設 | ||||
* 不動産番号には実際は13桁の番号が記録される。所有者(原始取得者)の表示は、所有権保存登記がされると下線が引かれる。
専有部分の表題部(新築・記録例2)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 不動産番号 | 0123456789014(13桁の数字) | 部屋1つずつに付く識別番号 |
| 家屋番号 (かおくばんごう) | ○町三丁目 8番1の101 | 部屋につけた番号。非区分建物と違って「○町三丁目」という地番区域名から書き始める |
| 建物の名称 | 101 | 部屋番号と同じ番号にするのが便利で一般的 |
| 種類 (きょたく) | 居宅 | この部屋の使いみち。居宅・事務所・店舗など |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造1階建 | この部屋が何階分あるか。2階と3階をまたぐメゾネットの部屋なら「2階建」になる |
| 床面積 | 1階部分 45.70㎡ | 建物全体の何階にあるか+内壁で囲まれた広さ。壁の中心で測るパンフレットの面積より小さくなる |
| 原因及びその日付〔登記の日付〕 | 令和○年2月25日新築〔令和○年3月6日〕 | 部屋側には新築の日が記録される。〔 〕は登記が完了した日 |
| 敷地権の表示 | 符号1: 所有権 1000分の7 / 符号2: 所有権 1000分の7(原因: 令和○年2月25日敷地権) | 土地2筆をそれぞれ1000分の7ずつ持つ。部屋と土地の権利はセットでしか売り買いできない |
| 所有者 | 甲市乙町二丁目1番5号 株式会社甲建設 | 最初の持ち主(原始取得者)。建てた会社が記録され、保存登記がされると下線が引かれる |
ここにもつまずきポイントがいくつかあります。
- 家屋番号は地番区域名から。非区分建物と異なり「○町三丁目 8番1の101」のように、 町名から書き始めます。
- 構造の「1階建」は部屋の中の階数。2階と3階をまたぐメゾネットの部屋は「2階建」です(準則90条)。 通常のマンション(階層区分)では屋根の種類は登記しません(準則81条3項)。 ようかんを横にスライスするような縦割り区分の場合だけ、屋根の種類も登記します。
- 床面積の「1階部分」は建物全体の中の位置。縦割り区分の場合は「部分」を付けず「1階」「2階」と記録します。
- 床面積は内壁で囲まれた部分(内のり)で測ります(規則115条かっこ書)。 壁の中心線で測るマンションの宣伝パンフレットより、登記簿の床面積のほうが少ないのが一般的です。
- 所有者欄には最初の持ち主(原始取得者)、つまり建てた会社が記録されます。 所有権保存登記がされると、この表示に下線が引かれます。
敷地権の表示の原因欄「令和○年2月25日敷地権」の日付は、敷地権が発生した日です。 敷地権は、敷地と専有部分の所有者が登記簿上同一人となったときに発生します。 この例では新築の日と同じ日付ですが、区分建物を取得した後に土地の敷地利用権を登記した場合は、その登記の日になります。
所有権保存の登記(記録例3)
区分建物には、保存登記の特別ルールがあります。非区分建物では表題部所有者本人しか保存登記できませんが、 区分建物では表題部の所有者(分譲会社)から直接買った人も、自分名義で所有権保存登記を申請できます(法74条2項)。 マンションの最初の買主が、いちいち分譲会社名義の登記を経由しなくて済むようにした仕組みです。
| 権 利 部(甲区) (所有権に関する事項) | |||
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
| 1 | 所有権保存 | 令和○年○月○日 第○号 | 原因 令和○年○月○日売買 所有者 ○市○町○番○号 甲野太郎 |
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。
権利部(甲区)— 敷地権付き区分建物の所有権保存(新築・記録例3)
- 1番所有権保存受付 令和○年○月○日 第○号
甲野太郎さんが分譲会社から部屋を直接買って、自分の名前で「はじめての持ち主」の登記をした。ふつうの保存登記には原因を書かないのに、ここに「売買」と日付が書いてあるのが敷地権付き区分建物の目印。
- 原因
- 令和○年○月○日売買
- 所有者
- ○市○町○番○号 甲野太郎
読みどころは原因欄です。敷地権化されている建物では土地と部屋を分離処分できないので、 普通の保存登記には書かれない「原因 令和○年○月○日売買」のような 取得原因とその日付も登記されるのが目印です。
敷地権である旨の登記(記録例4)
もうひとつ、建物側で敷地権の表示の登記をすると、土地の登記簿の甲区に「所有権敷地権」という 敷地権である旨の登記がされます。次の記録例は土地の登記簿の甲区で、 土地の所有権全部が敷地権になった場合です。
| 権 利 部(甲区) (所有権に関する事項) | |||
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
| 2 | 所有権移転 | 令和○年○月○日 第○号 | 原因 令和○年○月○日売買 所有者 甲市乙町二丁目1番5号 甲 某 |
| 3 | 所有権敷地権 | 余白 | 建物の表示 ○区○町三丁目8番地1 一棟の建物の名称 ○○マンション 令和○年3月6日登記 |
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。
権利部(甲区・土地の登記簿)— 敷地権である旨の登記(新築・記録例4)
- 2番所有権移転受付 令和○年○月○日 第○号
敷地権になる前の、土地の持ち主の記録。甲某さんがこの土地を買った。
- 原因
- 令和○年○月○日売買
- 所有者
- 甲市乙町二丁目1番5号 甲 某
- 3番所有権敷地権受付 余白
「この土地はマンションとセットになりました。バラ売り終了」の宣言。これ以降、土地の登記簿では所有権を動かせない。受付欄が余白なのは、申請ではなく登記官の職権による登記だから。
- 建物の表示
- ○区○町三丁目8番地1
- 一棟の建物の名称
- ○○マンション
- 令和○年3月6日登記
3番の受付年月日・受付番号は余白(申請ではなく職権の登記の印)で、権利者その他の事項には 建物の所在と一棟の建物の名称が記録されます。末尾の「令和○年3月6日登記」は実際に登記が完了した日で、 建物側の登記の日と一致しているのが一般的です。この登記がされると、 土地の登記簿では敷地権(所有権・地上権・賃借権)の移転登記ができなくなります。 土地だけを売るのはセット販売(一体性の原則)に反するからです。 「この土地はマンションとセットになりました。バラ売り終了」という宣言が土地側にも刻まれるわけです。
共用部分に関する登記 — みんなの廊下と集会所
区分建物は専有部分と共用部分に分けられます。共用部分は「みんなの廊下」のように 区分所有者全員(または一部)で使う部分のことで、3種類に整理できます。
| 種類 | なに? | 例 | 登記 |
|---|---|---|---|
| 法定共用部分 | 構造上当然にみんなで使う部分(区分所有法4条1項) | 廊下・階段室・エレベーター室 | 登記できない(独立した建物としての性質がないため) |
| 規約共用部分 | 部屋として独立しているが、規約でみんなのものにした部分(区分所有法4条2項) | 集会所・管理人室 | 表題部に「共用部分である旨」を登記する |
| 団地共用部分 | 数棟ある団地で、団地建物所有者全員の用に供する建物(区分所有法67条) | 団地の集会室・駐車場・倉庫 | 表題部に「団地共用部分である旨」を登記する |
規約の設定は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で行います(区分所有法31条)。 ただし、最初に専有部分の全部を所有する者(=分譲前のマンション業者)は、公正証書で 規約共用部分を設定できます(同32条)。実際には、業者があらかじめ公正証書で規約を設定してから販売するので、 購入時点で規約共用部分が決まっているのが一般的です。
規約共用部分になると登記簿はどうなる?(記録例1)
次の記録例は、いったん普通の部屋として売買までされた建物(家屋番号 乙町99番の2)を、 あとから規約共用部分にした例です。まず表題部から。
| 表 題 部(専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | 0123456789015 | |||
| 家屋番号 | 乙町 99番の2 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 鉄筋コンクリート造1階建 | 3階部分 40.00 | 令和○年○月○日新築 〔令和○年○月○日〕 | ||
| 余白 | 余白 | 余白 | 令和○年○月○日規約設定 共用部分 〔令和○年○月○日〕 | ||
| 所有者 | ○市○町○番○号 甲 某 | ||||
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。共用部分である旨の登記にともない、登記官が職権で所有者の登記を抹消した(法58条4項)。
そして甲区。ここがこの記録例のいちばんの見せ場です。
| 権 利 部(甲区) (所有権に関する事項) | |||
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
| 1 | 所有権保存 | 令和○年○月○日 第○号 | 所有者 ○市○町○番○号 甲 某 |
| 2 | 所有権移転 | 令和○年○月○日 第○号 | 原因 令和○年○月○日売買 所有者 ○市○町○番○号 乙 某 |
| 3 | 2番、1番所有権抹消 | 余白 | 令和○年○月○日不動産登記法第58条第4項の規定により抹消 |
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。
分解すると、それぞれこうなります。
規約共用部分とした建物の表題部(共用部分・記録例1)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 家屋番号 | 乙町 99番の2 | 共用部分にする前は、ふつうの専有部分として番号が付いていた |
| 種類・構造 | 居宅 / 鉄筋コンクリート造1階建 | もともとは住める部屋として登記されていた |
| 床面積 | 3階部分 40.00㎡ | 3階にある40㎡の部屋 |
| 原因及びその日付(1行目) | 令和○年○月○日新築〔令和○年○月○日〕 | 部屋として生まれたときの記録 |
| 原因及びその日付(2行目) | 令和○年○月○日規約設定 共用部分〔令和○年○月○日〕 | 「規約でみんなの部屋にした」という記録。ここからこの部屋は個人の売買の対象でなくなる |
| 所有者 | ○市○町○番○号 甲 某(下線=抹消) | 共用部分になると、持ち主の記録は登記官が職権で消す(下線が引かれる) |
権利部(甲区)— 規約共用部分になったので職権で全部抹消された例
- 1番所有権保存受付 令和○年○月○日 第○号
甲某さんが、この部屋のはじめての持ち主として登録された。順位番号から所有者まで行ぜんぶの下線は、3番の職権抹消で効力を失った印。
- 所有者
- ○市○町○番○号 甲 某
- 2番所有権移転受付 令和○年○月○日 第○号
乙某さんがこの部屋を買って持ち主が交代した。この行もまるごと、3番の職権抹消で下線が引かれた。
- 原因
- 令和○年○月○日売買
- 所有者
- ○市○町○番○号 乙 某
- 3番2番、1番所有権抹消受付 余白
部屋が「みんなの共用部分」になったので、登記官が自分の判断(職権)で持ち主の記録をぜんぶ消した。共用部分は誰か1人のものとして売買できないから。受付欄が余白なのは、誰かの申請ではなく職権の登記だという印。
- 令和○年○月○日不動産登記法第58条第4項の規定により抹消
共用部分である旨の登記をするとき、登記官は職権で、その建物の表題部所有者の登記または 権利に関する登記を抹消しなければなりません(法58条4項、規則141条)。 「みんなの部屋」になった以上、特定の誰かが持ち主として記録されたままではおかしいからです。 甲区3番の「2番、1番所有権抹消」が職権抹消の記録で、受付欄が余白なのは申請ではなく職権だからです。 抹消された1番・2番は、原本どおり順位番号から所有者まで行ぜんぶに下線が引かれます。 新しいマンションでは新築と同時に規約共用部分の登記をするのが一般的で、その場合は甲区が最初から作られません。
団地共用部分である旨の登記(記録例2)
団地共用部分の登記もほぼ同じ形です。次の記録例は、団地内にある建物(事務所・集会所)を 規約によって団地共用部分とした例です。
| 表 題 部(専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | (※) | |||
| 家屋番号 | 乙町 30番の31 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 事務所 集会所 | 鉄筋コンクリート造1階建て | 1階部分 91.19 | 令和○年○月○日新築 〔令和○年○月○日〕 | ||
| 余白 | 余白 | 余白 | 令和○年○月○日団地規約設定 団地建物の表示 甲市乙町30番地 一棟の建物の名称 ひばりが丘1号棟 同所同番地 一棟の建物の名称 ひばりが丘2号棟の団地共用部分 〔令和○年○月○日〕 | ||
* 不動産番号(※)には実際は13桁の番号が記録される。
団地共用部分とした建物の表題部(共用部分・記録例2)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 家屋番号 | 乙町 30番の31 | 団地の中の独立した1棟(附属施設)として番号が付いている |
| 種類 | 事務所 集会所 | 使いみちが2つ書かれた複合用途の建物。事務所と集会所をかねている |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造1階建て | コンクリート造の平屋 |
| 床面積 | 1階部分 91.19㎡ | この建物の広さ |
| 原因及びその日付(1行目) | 令和○年○月○日新築〔令和○年○月○日〕 | この建物が生まれたときの記録 |
| 原因及びその日付(2行目) | 令和○年○月○日団地規約設定 + 団地建物の表示(甲市乙町30番地 ひばりが丘1号棟・同所同番地 ひばりが丘2号棟の団地共用部分)〔令和○年○月○日〕 | 「規約で団地のみんなのものにした」記録。どの棟たちの共用部分なのか、棟の名前つきで書かれる |
原因欄に「令和○年○月○日団地規約設定」とともに、 「甲市乙町30番地 一棟の建物の名称 ひばりが丘1号棟」「同所同番地 一棟の建物の名称 ひばりが丘2号棟」のように、 どの棟たちの共用部分なのか(団地建物の表示)が記録されます。 団地内の数棟の建物の全部を所有する者は、公正証書で団地共用部分を設定できます(区分所有法67条2項)。
一棟の建物(非区分建物)を区分した場合 — 1冊の帳簿を2冊に分ける
もともと普通の建物だったものを、区分建物に変えることもできます。賃貸マンションのように 最初から独立した部屋が数個あった建物を区分登記する場合や、壁や出入口を設置して区分性を持たせた場合です。 書籍の記録例では、家屋番号775番2の建物を775番2の1と775番2の2の 2個に区分しています。登記簿の動きはこうです。
| 登記簿 | どうなる? | 原因欄の合言葉 |
|---|---|---|
| 区分前の775番2(1冊目) | 閉鎖される | 「区分により775番2の1、775番2の2の登記記録に移記」+登記の日付に「同日閉鎖」 |
| 新しい一棟の建物の表題部 | マンション全体のページとして新規作成 | —(登記の日付のみ) |
| 新しい775番2の1・775番2の2(2冊目・3冊目) | 専有部分のページとして新規作成。権利部には従前の登記が移記される | 「775番2から区分」「順位○番の登記を移記」 |
新しい一棟の建物の表題部(記録例1)
まずはマンション全体のページとして新しく作られた、一棟の建物の表題部です。
| 専有部分の家屋番号 | 775-2-1 775-2-2 | ||||
| 表 題 部(一棟の建物の表示) | 調製 | 余白 | 所在図番号 | 余白 | |
| 所 在 | ○区○町五丁目 775番地2 | 余白 | |||
| 建物の名称 | ○○マンション | 余白 | |||
| ① 構 造 | ② 床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | |||
| 鉄筋コンクリート造陸屋根 2階建 | 1階 60.00 2階 60.00 | 〔令和○年3月6日〕 | |||
一棟の建物の表題部(区分・記録例1)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 専有部分の家屋番号 | 775-2-1 / 775-2-2 | 区分してできた2部屋の番号リスト |
| 所在 | ○区○町五丁目 775番地2 | 建っている土地は区分前と変わらない |
| 建物の名称 | ○○マンション | 一棟の建物に付けた名前 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根 2階建 | 建物全体の構造。これも区分前と同じ |
| 床面積 | 1階 60.00㎡ / 2階 60.00㎡ | 建物全体の床面積 |
| 原因及びその日付〔登記の日付〕 | 〔令和○年3月6日〕 | 一棟の建物には新築年月日は記録されない。区分登記が完了した日だけが入る |
A区分建物の表題部(記録例2)
| 表 題 部(専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | (※) | |||
| 家屋番号 | ○町五丁目 775番2の1 | 余白 | |||
| 建物の名称 | 101 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 鉄筋コンクリート造1階建 | 1階部分 58.26 | 775番2から区分 〔令和○年3月6日〕 | ||
* 不動産番号(※)には実際は13桁の番号が記録される。
A区分建物の表題部(区分・記録例2)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 家屋番号 | ○町五丁目 775番2の1 | 区分前の家屋番号775番2に「の1」が付いた新しい番号 |
| 建物の名称 | 101 | 部屋番号 |
| 種類 | 居宅 | この部屋の使いみち |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造1階建 | この部屋は1階分だけ |
| 床面積 | 1階部分 58.26㎡ | 内壁で囲んで測ったこの部屋の広さ |
| 原因及びその日付〔登記の日付〕 | 775番2から区分〔令和○年3月6日〕 | 「775番2を切り分けてこの登記記録が生まれた」という出生の記録。新築の日は写されないので、知りたければ閉鎖された775番2の証明書を取る |
専有部分の原因欄「775番2から区分」は、区分によってこの登記記録が作られたという意味です。 新築年月日は移記されないので、いつ建った建物か知りたければ、 閉鎖された775番2の登記事項証明書(閉鎖事項証明書)を取る必要があります。
A区分建物の権利部 — 移記の記録(記録例3・記録例4)
区分により作成された新しい登記簿には、従前の登記簿に登記されていた事項が移記されます。 まず甲区から。
| 権 利 部(甲区) (所有権に関する事項) | |||
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
| 1 | 所有権移転 | 令和○年○月○日 第○号 | 原因 令和○年○月○日相続 所有者 ○市○町○番○号 甲野太郎 順位2番の登記を移記 令和○年3月4日受付 第○号 |
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。
権利部(甲区)— 区分でできた新しい登記記録への移記(区分・記録例3)
- 1番所有権移転受付 令和○年○月○日 第○号
甲野太郎さんが相続で持ち主になった記録を、閉鎖した古い帳簿(775番2)の順位2番から写してきた。「順位2番の登記を移記」がその印で、末尾の受付は今回の区分登記の申請日と受付番号。
- 原因
- 令和○年○月○日相続
- 所有者
- ○市○町○番○号 甲野太郎
- 順位2番の登記を移記
- 令和○年3月4日受付 第○号
続いて乙区。抵当権が共同担保に変わるところが見せ場です。
| 権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項) | |||
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
| 1 | 抵当権設定 | 令和○年○月○日 第○号 | 原因 令和○年7月7日金銭消費貸借同日設定 債権額 金1,000万円 利息 年1.75%(年365日日割計算) 損害金 年14.0% 債務者 ○市○町○番○号 甲野太郎 抵当権者 ○市○町○番○号 株式会社A銀行 順位1番の登記を移記 共同担保 目録(あ) 第○号 令和○年3月4日受付 第○号 |
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。
権利部(乙区)— 移記された抵当権は共同担保になる(区分・記録例4)
- 1番抵当権設定受付 令和○年○月○日 第○号
古い帳簿の順位1番にあった抵当権の引っ越し。区分で建物が2個になったので、1個に付いていた抵当権は2個にまたがる「共同担保」になり、共同担保目録の記号と番号が新しく記録された。
- 原因
- 令和○年7月7日金銭消費貸借同日設定
- 債権額
- 金1,000万円
- 利息
- 年1.75%(年365日日割計算)
- 損害金
- 年14.0%
- 債務者
- ○市○町○番○号 甲野太郎
- 抵当権者
- ○市○町○番○号 株式会社A銀行
- 順位1番の登記を移記
- 共同担保
- 目録(あ) 第○号
- 令和○年3月4日受付 第○号
権利部の「順位○番の登記を移記」は、従前の登記簿の順位○番の登記事項を写しました、という意味です。 移記されるのは現在効力のある部分だけ。過去の所有者や抹消済みの抵当権は写されません。 引っ越しのとき、今使うものだけ新居に持っていき、ゴミは置いていくイメージです。 また、1個の建物に付いていた抵当権は、区分により2個の建物にまたがる共同担保になるので、 移記された抵当権には共同担保目録の記号・番号が新たに記録されます。 移記の末尾にある「令和○年3月4日受付第○号」は、今回の区分登記の申請年月日と受付番号です。
区分前の建物の表題部 — 閉鎖された1冊目(記録例5)
| 表 題 部(主である建物の表示) | 調製 | 余白 | 不動産番号 | (※) | |
| 所在図番号 | 余白 | ||||
| 所 在 | ○区○町五丁目 775番地2 | 余白 | |||
| 家屋番号 | 775番2 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 鉄筋コンクリート造陸屋根2階建 | 1階 60.00 2階 60.00 | 令和○年○月○日新築 〔令和○年○月○日〕 | ||
| 余白 | 余白 | 余白 | 区分により775番2の1、775番2の2の登記記録に移記 〔令和○年3月6日同日閉鎖〕 | ||
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。区分により登記記録が閉鎖されたため、表題部の記録値に下線が引かれている(原因及びその日付欄には引かれない)。不動産番号(※)には実際は13桁の番号が記録される。
区分前の建物の表題部(区分・記録例5・閉鎖済み)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 所在 | ○区○町五丁目 775番地2(下線=閉鎖) | 閉鎖された記録なので、記録値ぜんぶに下線が引かれる |
| 家屋番号 | 775番2(下線=閉鎖) | 区分前の1冊目の番号 |
| 種類・構造 | 居宅 / 鉄筋コンクリート造陸屋根2階建(下線=閉鎖) | 区分前は2階建まるごと1個の建物だった |
| 床面積 | 1階 60.00㎡ / 2階 60.00㎡(下線=閉鎖) | 区分前の建物全体の床面積 |
| 原因及びその日付(1行目) | 令和○年○月○日新築〔令和○年○月○日〕 | この建物が生まれたときの記録。新しい登記記録には写されないので、新築の日はここでしか確認できない |
| 原因及びその日付(2行目) | 区分により775番2の1、775番2の2の登記記録に移記〔令和○年3月6日同日閉鎖〕 | 「2冊に引っ越したので、この帳簿は閉じます」という最後の記録。登記した日と閉鎖した日が書かれる |
原因及びその日付欄には、区分後の家屋番号と、その登記記録に登記事項が移記された旨が記録され、 登記の日付として登記した日と登記記録を閉鎖した日が記録されます。 閉鎖により、表題部の記録値(所在・家屋番号・種類・構造・床面積)には下線が引かれます。
再区分の登記 — 部屋をさらに切り分ける
再区分は、すでに区分登記されている専有部分をさらに区分する登記です。 数部屋を1個の専有部分として登記していたものを切り分けて、一部を売却する場合などに行われます。 書籍の記録例では、5階の部屋(家屋番号 3番12の31、床面積91.50㎡)を2個に分けています。
元の部屋の表題部(記録例1)
| 表 題 部(専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | (※) | |||
| 家屋番号 | ○町三丁目 3番12の31 | 余白 | |||
| 建物の名称 | 506 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 鉄筋コンクリート造1階建 | 5階部分 91.50 | 令和○年2月25日新築 〔令和○年○月○日〕 | ||
| 余白 | 余白 | 5階部分 60.00 | ③3番12の68を区分 〔令和○年3月6日〕 | ||
| 表 題 部(敷地権の表示) | |||||
| ①土地の符号 | ②敷地権の種類 | ③敷地権の割合 | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 1 | 所有権 | 1000分の90 | 令和○年2月25日敷地権 〔令和○年○月○日〕 | ||
| 1 | 所有権 | 1000分の60 | 令和○年3月6日変更 〔令和○年3月6日〕 | ||
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。「③3番12の68を区分」の③は、変更された項目(③床面積)を指す項目番号。不動産番号(※)には実際は13桁の番号が記録される。
元の部屋の表題部(再区分・記録例1・3番12の31)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 家屋番号 | ○町三丁目 3番12の31 | 再区分しても元の部屋の家屋番号は変わらない |
| 建物の名称 | 506 | 部屋番号 |
| 種類・構造 | 居宅 / 鉄筋コンクリート造1階建 | 5階にある1階分の部屋 |
| 床面積(変更前) | 5階部分 91.50㎡(下線=抹消) | 切り分ける前の広さ。新しい床面積が登記されたので下線が引かれた |
| 床面積(変更後) | 5階部分 60.00㎡(原因: ③3番12の68を区分) | 「③(床面積)は、3番12の68を切り分けたので変わりました」という記録。③は変わった項目の番号 |
| 敷地権の割合(変更前) | 所有権 1000分の90(下線=抹消) | 土地の持分も部屋の広さに合わせて変わるので、古い割合に下線が引かれた |
| 敷地権の割合(変更後) | 所有権 1000分の60(原因: 令和○年3月6日変更) | 90のうち60が元の部屋に残った。床面積の割合(60:30)どおり |
元の部屋(3番12の31)は、床面積が「5階部分 91.50㎡」から「5階部分 60.00㎡」に変わり、 原因欄に「③3番12の68を区分」と記録されます。 頭の③は変更された項目(③床面積)を指す項目番号で、 「③床面積は、3番12の68を区分したので変更しました」という意味です。古い床面積には下線が引かれます。
新しい部屋の表題部(記録例2)
| 表 題 部(専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | (※) | |||
| 家屋番号 | ○町三丁目 3番12の68 | 余白 | |||
| 建物の名称 | 507 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 鉄筋コンクリート造1階建 | 5階部分 30.00 | 3番12の31から区分 〔令和○年3月6日〕 | ||
| 表 題 部(敷地権の表示) | |||||
| ①土地の符号 | ②敷地権の種類 | ③敷地権の割合 | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 1 | 所有権 | 1000分の30 | 令和○年2月25日敷地権 〔令和○年3月6日〕 | ||
* 不動産番号(※)には実際は13桁の番号が記録される。
新しい部屋の表題部(再区分・記録例2・3番12の68)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 家屋番号 | ○町三丁目 3番12の68 | 切り分けで新しく生まれた部屋の番号 |
| 建物の名称 | 507 | 部屋番号 |
| 種類・構造 | 居宅 / 鉄筋コンクリート造1階建 | 5階にある1階分の部屋 |
| 床面積 | 5階部分 30.00㎡(原因: 3番12の31から区分) | 「3番12の31を切り分けてこの登記記録が生まれた」という出生の記録 |
| 敷地権の表示 | 符号1: 所有権 1000分の30(原因: 令和○年2月25日敷地権) | 原因の日付は変更の日ではなく、当初の敷地権発生の日が書かれるのが読みどころ |
新しい部屋(3番12の68)は、床面積「5階部分 30.00㎡」で新しい登記記録が作られ、 原因欄に「3番12の31から区分」と記録されます。
敷地権がある場合は、敷地権の割合も床面積の割合で変更されます。 記録例では元の「1000分の90」が「1000分の60」(元の部屋)と「1000分の30」(新しい部屋)に分かれました。 新しい部屋の敷地権の原因欄には、変更の日ではなく当初の敷地権発生の日が記録される点も読みどころです。
区分建物の滅失により通常の建物となった場合
2個の区分建物のうち1個が取壊しなどで滅失すると、残った建物はもう「区分」建物ではありません。 2段ベッドの上段を撤去したら、ただのベッドになるのと同じです。 書籍の記録例(50番1の1を取り壊し、50番1の2が残る)では、登記簿が次のように動きます。
- 取り壊した部屋(50番1の1)には「令和○年6月18日取壊し」が記録される。
- 残った部屋(50番1の2)の登記記録には新しく登記するものはなく、 記録に下線が引かれるだけ。そして普通の建物(主である建物の表示)として 新しい登記記録に移記される。
- 一棟の建物の表題部には「不動産登記規則第140条第4項の規定により移記」と記録され、 同日閉鎖される。
- 新しい登記記録の原因欄には、従前の原因(新築の日)と移記の条文、登記した日が記録される。
区分建物の一棟の表題部(記録例1)
| 専有部分の家屋番号 | 50-1-1 50-1-2 | ||||
| 表 題 部(一棟の建物の表示) | 調製 | 余白 | 所在図番号 | 余白 | |
| 所 在 | ○市○町五丁目 50番地1 | 余白 | |||
| 建物の名称 | ○○マンション | 余白 | |||
| ① 構 造 | ② 床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | |||
| 木造スレートぶき2階建 | 1階 165.26 2階 165.26 | 〔令和○年5月6日〕 | |||
| 余白 | 余白 | 不動産登記規則第140条第4項の規定により移記 〔令和○年7月19日同日閉鎖〕 | |||
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。区分建物でなくなり登記記録が閉鎖されたため、表題部の記録値に下線が引かれている。
区分建物の一棟の表題部(滅失・記録例1・閉鎖済み)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 専有部分の家屋番号 | 50-1-1 / 50-1-2(下線=閉鎖) | もともと2部屋あった。1個が取り壊されて「区分」建物でなくなったので、一棟のページごと閉じられた |
| 所在 | ○市○町五丁目 50番地1(下線=閉鎖) | 建っている土地 |
| 建物の名称 | ○○マンション(下線=閉鎖) | 一棟の建物の名前 |
| 構造 | 木造スレートぶき2階建(下線=閉鎖) | 建物全体の構造 |
| 床面積 | 1階 165.26㎡ / 2階 165.26㎡(下線=閉鎖) | 建物全体の床面積 |
| 原因及びその日付(2行目) | 不動産登記規則第140条第4項の規定により移記〔令和○年7月19日同日閉鎖〕 | 「普通の建物として新しい帳簿に引っ越したので、このページは閉じます」という条文つきの最後の記録 |
一棟の建物の表題部は、まるごと閉鎖されます。専有部分の家屋番号から床面積まで 記録値ぜんぶに下線が引かれ、最後の行に移記の条文と「同日閉鎖」が刻まれます。
滅失した区分建物(記録例2)
| 表 題 部(専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | (※) | |||
| 家屋番号 | ○町五丁目 50番1の1 | 余白 | |||
| 建物の名称 | 101 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 木造スレートぶき2階建 | 1階 67.21 2階 67.21 | 令和○年4月20日新築 〔令和○年5月6日〕 | ||
| 余白 | 余白 | 余白 | 令和○年6月18日取壊し 〔令和○年7月19日〕 | ||
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。建物が取り壊されて滅失したため、表題部の記録値に下線が引かれている。不動産番号(※)には実際は13桁の番号が記録される。
滅失した区分建物の表題部(滅失・記録例2・50番1の1)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 家屋番号 | ○町五丁目 50番1の1(下線=滅失) | 取り壊された側の部屋 |
| 建物の名称 | 101(下線=滅失) | 部屋番号 |
| 種類・構造 | 居宅 / 木造スレートぶき2階建(下線=滅失) | この専有部分は建物の1階と2階をまたぐ2階分だった |
| 床面積 | 1階 67.21㎡ / 2階 67.21㎡(下線=滅失) | 取り壊された部屋の広さ |
| 原因及びその日付(2行目) | 令和○年6月18日取壊し〔令和○年7月19日〕 | 「取り壊されてこの世から消えました」という記録。建物が消えると登記記録も閉鎖される |
移記する区分建物 — 残った側(記録例3)
| 表 題 部(専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | (※) | |||
| 家屋番号 | ○町五丁目 50番1の2 | 余白 | |||
| 建物の名称 | 102 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 木造スレートぶき2階建 | 1階 93.58 2階 93.58 | 令和○年4月20日新築 〔令和○年5月6日〕 | ||
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。新しく登記するものはなく、普通の建物として新しい登記記録に移記されたため、記録に下線が引かれるだけ。不動産番号(※)には実際は13桁の番号が記録される。
移記する区分建物の表題部(滅失・記録例3・50番1の2)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 家屋番号 | ○町五丁目 50番1の2(下線=移記) | 残った側の部屋。新しく登記するものはなく、記録に下線が引かれるだけ |
| 建物の名称 | 102(下線=移記) | 部屋番号 |
| 種類・構造 | 居宅 / 木造スレートぶき2階建(下線=移記) | 残った建物の構造 |
| 床面積 | 1階 93.58㎡ / 2階 93.58㎡(下線=移記) | 内壁で測った区分建物時代の床面積。このまま新しい帳簿に写される |
| 原因及びその日付 | 令和○年4月20日新築〔令和○年5月6日〕 | 生まれた日の記録。原因欄には下線が引かれない |
残った建物の記録には、登記するものはなく、ただ記録に下線が引かれるだけです。 取壊しのような原因の行も追加されません。
滅失後の建物の表題部 — 普通の建物の新しい1冊(記録例4)
| 表 題 部(主である建物の表示) | 調製 | 余白 | 不動産番号 | (※) | |
| 所在図番号 | 余白 | ||||
| 所 在 | ○市○町五丁目 50番地1 | 余白 | |||
| 家屋番号 | 50番1の2 | 余白 | |||
| ①種 類 | ②構 造 | ③床 面 積 ㎡ | 原因及びその日付〔登記の日付〕 | ||
| 居宅 | 木造スレートぶき2階建 | 1階 93.58 2階 93.58 | 令和○年4月20日新築 不動産登記規則第140条第4項の規定により移記 〔令和○年7月19日〕 | ||
| 余白 | 余白 | 1階 96.58 2階 96.58 | ③令和○年6月18日区分建物の滅失による変更 〔令和○年7月19日〕 | ||
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。移記された従前の床面積は、床面積の変更登記(2行目)により下線が引かれた。「③令和○年…」の③は変更された項目(③床面積)を指す項目番号。不動産番号(※)には実際は13桁の番号が記録される。
滅失後の建物の表題部(滅失・記録例4・普通の建物になった50番1の2)
| 項目 | 記録されている内容 | やさしく言うと |
|---|---|---|
| 所在 | ○市○町五丁目 50番地1 | 建っている土地は変わらない |
| 家屋番号 | 50番1の2 | 家屋番号も区分建物時代のまま。ただし帳簿は「主である建物の表示」つきの新しい1冊 |
| 種類・構造 | 居宅 / 木造スレートぶき2階建 | 普通の2階建の家として記録し直された |
| 床面積(移記・変更前) | 1階 93.58㎡ / 2階 93.58㎡(下線=抹消) | 内壁で測った区分建物時代の床面積がいったんそのまま写された。実態と合わないので、あとで下線が引かれた |
| 床面積(変更後) | 1階 96.58㎡ / 2階 96.58㎡ | 普通の建物は壁の中心線で測るので床面積が増える。所有者が床面積の変更登記を申請して直した |
| 原因及びその日付(1行目) | 令和○年4月20日新築 + 不動産登記規則第140条第4項の規定により移記〔令和○年7月19日〕 | 生まれた日と、移記の根拠条文、登記した日のセット |
| 原因及びその日付(2行目) | ③令和○年6月18日区分建物の滅失による変更〔令和○年7月19日〕 | 「③(床面積)が、区分建物の滅失で変わりました」という記録。この書き方は登記所によりまちまち |
ここに面白い問題がひとつ。区分建物の床面積は内壁で囲んだ「内のり」で測りますが、 普通の建物は壁の中心線で測るので、普通の建物になると床面積は増えるはずです。 ところが移記では従前の床面積(1階 93.58㎡・2階 93.58㎡)がそのまま写されるため、 登記記録と実態がズレてしまいます。そこで残った建物の所有者は床面積の変更登記を申請する必要があり、 記録例では「③令和○年6月18日区分建物の滅失による変更」として1階 96.58㎡・2階 96.58㎡に直しています (この原因欄の書き方は登記所によりまちまちだそうです)。
建物のみに関する付記 — 「この権利は部屋だけ」の目印
敷地権の表示の登記がされると、それ以後は建物の登記簿にした登記の効力が敷地にも及ぶようになります。 逆にいうと、敷地権の表示の登記より前に建物の登記簿にされていた登記は、敷地には及んでいないのに、 あたかも及んでいるかのような見た目になってしまいます。この誤解を防ぐために付けるのが 「○番登記は建物のみに関する」という付記です(規則123条1項)。 荷物に貼る「ワレモノ注意」ならぬ「土地には効きません注意」のシールです。
所有権に係る権利に付記する場合(甲区)
甲区では、所有権移転の仮登記、買戻特約、差押えなど 「所有権に係る権利に関する登記」に付記されます。所有権の登記そのもの(保存・移転)には付記しません。
| 権 利 部(甲区) (所有権に関する事項) | |||
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
| 1 | 所有権保存 | 平成○年○月○日 第○号 | (省略) |
| 2 | 所有権移転 | 平成○年○月○日 第○号 | 原因 平成○年○月○日売買 所有者 ○市○町○番○号 甲野太郎 |
| 付記1号 | 買戻特約 | 平成○年○月○日 第○号 | (省略) |
| 付記1号の付記1号 | 2番付記1号登記は建物のみに関する | 余白 | 平成○年○月○日付記 |
| 3 | 所有権移転請求権仮登記 | 平成○年○月○日 第○号 | (省略) |
| 余白 | 余白 | 余白 | |
| 付記1号 | 3番登記は建物のみに関する | 余白 | 平成○年○月○日付記 |
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。
権利部(甲区)— 買戻特約・仮登記に「建物のみに関する」付記が付いた例
- 1番所有権保存受付 平成○年○月○日 第○号
はじめての持ち主の登記。中身は原本の記録例でも省略されている。
- (省略)
- 2番所有権移転受付 平成○年○月○日 第○号
甲野太郎さんが買って持ち主が交代した。所有権の登記そのものには「建物のみに関する」付記は付かない。
- 原因
- 平成○年○月○日売買
- 所有者
- ○市○町○番○号 甲野太郎
- 2番 付記1号買戻特約受付 平成○年○月○日 第○号
売った人が「あとで買い戻せる」約束。所有権にくっつく権利なので、2番の付記として登記される。
- (省略)
- 2番 付記1号の付記1号2番付記1号登記は建物のみに関する受付 余白
「買戻特約は部屋だけに効いて、土地(敷地権)には効きません」という目印。付記の付記としてぶら下がる。日付は敷地権の登記をした日。
- 平成○年○月○日付記
- 3番所有権移転請求権仮登記受付 平成○年○月○日 第○号
「あとで正式に所有権をもらう予定」の順番取り(仮登記)。これも所有権に係る権利なので付記の対象になる。
- (省略)
- 余白受付 余白
仮登記の下に空けてある「本登記用の予約席」。あとで本登記をするとき、ここに書き込まれる。
- 余白
- 3番 付記1号3番登記は建物のみに関する受付 余白
「3番の仮登記は部屋だけに効いて、土地には効きません」という目印。日付は敷地権の登記をした日。
- 平成○年○月○日付記
2番付記1号の買戻特約に「2番付記1号登記は建物のみに関する」が 付記1号の付記1号としてぶら下がり、3番の所有権移転請求権仮登記に 「3番登記は建物のみに関する」が付記されています。仮登記の下の余白行は、 あとで本登記をするときのために空けてある予約席です。付記登記の年月日は敷地権の登記の年月日です。
抵当権等の登記に付記する場合(乙区)
| 権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項) | |||
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
| 1 | 抵当権設定 | 平成○年○月○日 第○号 | (省略) |
| 付記1号 | 1番登記は建物のみに関する | 余白 | 平成○年○月○日付記 |
| 2 | 賃借権設定 | 平成○年○月○日 第○号 | (省略) |
| 3 | 根抵当権設定 | 平成○年○月○日 第○号 | 平成○年○月○日付記 |
* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。
権利部(乙区)— 抵当権・根抵当権に「建物のみに関する」付記が付いた例
- 1番抵当権設定受付 平成○年○月○日 第○号
敷地権の表示の登記がされるより前に、部屋(建物)だけを担保に入れていた抵当権。
- (省略)
- 1番 付記1号1番登記は建物のみに関する受付 余白
「1番の抵当権は部屋だけに効いて、土地(敷地権)には効きませんよ」という目印のメモ。日付は敷地権の登記をした日。
- 平成○年○月○日付記
- 2番賃借権設定受付 平成○年○月○日 第○号
賃借権には「建物のみに関する」付記を付けない。敷地権の持分はそもそも賃借権の目的にならないので、土地にも効くと誤解されるおそれがないから。
- (省略)
- 3番根抵当権設定受付 平成○年○月○日 第○号
根抵当権にも「建物のみに関する」旨が記録された例。1番と違って独立した付記の行は立てず、根抵当権設定の事項欄に付記の年月日が直接記録される。極度額・債権の範囲・債務者・根抵当権者は原本の記録例でも省略されている。
- 平成○年○月○日付記
この記録例は3つの対比でできています。1番抵当権には付記1号として 「1番登記は建物のみに関する」が付き、2番賃借権には付かず、 3番根抵当権には独立した付記の行を立てずに、根抵当権設定の事項欄へ 「平成○年○月○日付記」と直接記録されています(極度額・債務者などの中身は原本の記録例でも省略されています)。 付記登記の年月日は、敷地権の登記の年月日です。
この付記がされるのは、次の2つの場合です。
- 敷地権の表示の登記がされる前に、建物だけに抵当権が設定されていた場合
- 敷地だけに抵当権が設定されていて、敷地権の表示の変更登記後に、同一債権の担保として 建物に追加設定された場合。付記しないと、敷地に同じ抵当権が二重に設定されているような誤解が生じるためです。 敷地権化後は建物のみを目的とする登記は原則できませんが、この追加設定は 「敷地と建物の一体的処分」という区分所有法の趣旨に合致するので認められています(昭和59年9月1日民三第4674号回答)。
最後に、付記が「付く登記・付かない登記」を整理しておきます。
| 建物のみに関する付記 | 登記の種類 | 理由 |
|---|---|---|
| 付く | 所有権に係る権利の登記(仮登記・買戻特約・差押えなど)、一般の先取特権・質権・抵当権に係る登記 | 敷地に及んでいるかのような誤解を防ぐ必要がある(規則123条1項) |
| 付かない | 所有権の登記そのもの(保存・移転) | 法文上、付記の対象から除かれている |
| 付かない | 特別の先取特権(不動産保存・不動産工事)、賃借権に関する登記 | 敷地権の持分はこれらの権利の目的にならないので、誤解のおそれがない |
| そもそも付記せず抹消 | 敷地権側に、目的・受付年月日・受付番号・原因がすべて同一の登記があるとき | 土地側の登記を抹消して一本化する(規則123条2項) |
まとめ — この章で覚える3つのこと
- マンションの登記簿は2段重ね+セット販売。一棟の表題部と専有部分の表題部があり、 敷地権により部屋と土地の持分は分離処分できない。建物の証明書1通で土地の権利までわかる。
- 共用部分になると持ち主の登記は職権で消される。規約共用部分の登記がされると、 登記官が法58条4項により表題部所有者・権利の登記を抹消し、売買の対象から外れる。
- 「○番登記は建物のみに関する」は時差の目印。敷地権の表示の登記より前の権利は 土地に及ばない。この付記を見たら「部屋だけに効く権利」と読む。
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