わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方 — 第2章(全8章)

🗺️ 表題部の見方 — 土地と建物の自己紹介欄

地番・地目・地積の読み方から、土地を分ける「分筆」・くっつける「合筆」、建物の新築・増築・取壊しまで。モノの姿が変わったとき登記簿がどう動くかを追う。

出典: 『わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方(6訂版)』日本法令(p.38〜97)。記録例は原本の帳票レイアウトを再現しつつ、内容を正規化データで管理している。

凡例: 記録例の中の下線は「抹消事項」=後の登記で効力を失った記録(登記簿は消さずに線を引いて歴史を残す)

第1章で、登記簿は「表題部・甲区・乙区」の3階建てだと学びました。この章はその1階、 表題部のくわしい読み方です。主役は、土地なら「地番・地目・地積」、 建物なら「家屋番号・種類・構造・床面積」。そして章の山場は、土地をようかんのように 切り分ける分筆(ぶんぴつ)と、くっつける合筆(がっぴつ)です。 モノの姿が変わったとき、登記簿がどう書き換わるかを記録例で追いかけます。

土地の表題部 — 自己紹介欄は7項目+α

土地の表題部には「不動産番号」「所在」「地番」「地目」「地積」「原因及びその日付」「登記の日付」が 記録されます。所有権の登記がまだない土地には「所有者(表題部所有者)」も載ります。 不動産番号は13桁の数字でできた、土地1つずつのマイナンバーのような識別番号。 所在は「甲市乙町二丁目」のような町名までで、都道府県名は原則書かれません。 この節では、つまずきやすい地番・地目・地積の3つを順に見ていきます。

まず原本を見る — 埋め立てで生まれた土地の表題部

最初に1枚、原本を見ておきましょう。海を埋め立てて新しく生まれた土地(公有水面埋立)の 表題部です。地図番号に「A11-1」が入っていること、 原因欄に生まれた理由と日付が記録されていることに注目してください。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号A11-1筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
13番7宅地330  00令和○年○月○日公有水面埋立 〔令和○年○月○日〕
所有者甲市乙町二丁目1番5号 甲野太郎

土地の表題部の分解(公有水面埋立・13番7)

項目記録されている内容やさしく言うと
地図番号 A11-1法務局に備え付けられた地図(14条地図)の番号。この土地は地図で場所を確かめられる
地番 (ちばん)13番7土地の背番号。本番13番の枝番(支号)7
地目 (ちもく)宅地土地の職業は宅地。だから地積は小数2桁まで記録される
地積 (ちせき)330.00㎡原本では小数点を打たず「330 00」と少し離して印字される
原因及びその日付 令和○年○月○日公有水面埋立〔令和○年○月○日〕海を埋め立てて新しく生まれた土地。生まれた理由と日付が記録される。〔 〕は登記が完了した日
所有者(表題部所有者) 甲市乙町二丁目1番5号 甲野太郎(下線なし)下線がない=まだ所有権の登記(甲区)がされていない

地番 — 土地の背番号。住所とは別物

地番(ちばん)は、土地一筆(いっぴつ)ごとに登記所が付ける番号です。 「渋谷区○○一丁目」のような地番区域ごとに定められ、ルールが決まっています。 同じ地番区域の中で同じ番号は二度使わない。抹消・滅失・合筆で登記記録が閉鎖された地番は、 特別の事情がない限り再使用しない。枝番(支号)には数字だけを使い、 「枝番の枝番」は作らない。

注意したいのは、地番と住所(住居表示)は別物だということです。 ふだん使う「○丁目○番○号」は郵便や訪問のための住所で、住居表示が実施されている地域では 地番と一致しないのが普通です。登記簿を取るときは住所ではなく地番で探します。

地目 — 土地の「職業」は23種類しかない

地目(ちもく)は土地の主な用途による区分で、いわば土地の職業です。 規則99条で次の23種類に限定されていて、これ以外の地目は定められません。 ただし「地目変更の登記をサボっている土地」もあるので、登記簿の地目と実際の使われ方が 違うことがある点には注意してください。

イメージ地目やさしく言うと
田の土地利用イメージ写真(た)用水を引いて耕す農地(田んぼ)。家庭菜園は含まない
畑の土地利用イメージ写真(はたけ)用水を使わずに耕す農地。牧草栽培地も畑
宅地の土地利用イメージ写真宅地(たくち)建物の敷地と、その役に立つ土地
学校用地の土地利用イメージ写真学校用地校舎・附属施設の敷地と運動場
鉄道用地の土地利用イメージ写真鉄道用地駅舎・附属施設・線路の敷地
塩田の土地利用イメージ写真塩田(えんでん)海水を引き入れて塩をとる土地
鉱泉地の土地利用イメージ写真鉱泉地(こうせんち)温泉などが湧き出る口と、その維持に必要な土地
池沼の土地利用イメージ写真池沼(ちしょう)かんがい用ではない水たまり(池や沼)
山林の土地利用イメージ写真山林(さんりん)耕さずに竹や木が育っている土地
牧場の土地利用イメージ写真牧場(ぼくじょう)家畜を放し飼いにする土地
原野の土地利用イメージ写真原野(げんや)耕さずに雑草やかん木が生えている土地
墓地の土地利用イメージ写真墓地(ぼち)人のお墓の土地。動物だけのお墓は雑種地扱い
境内地の土地利用イメージ写真境内地(けいだいち)神社やお寺の建物の敷地・参道
運河用地の土地利用イメージ写真運河用地運河の水路・堤防などのための土地
水道用地の土地利用イメージ写真水道用地水道の水源地・貯水池・ろ水場などの土地
用悪水路の土地利用イメージ写真用悪水路(ようあくすいろ)かんがい用や排水用の水路
ため池の土地利用イメージ写真ため池田畑のかんがい用の貯水池
堤の土地利用イメージ写真(つつみ)防水のために築いた堤防
井溝の土地利用イメージ写真井溝(せいこう)田畑や村落の間にある通水路
保安林の土地利用イメージ写真保安林(ほあんりん)森林法で農林水産大臣が指定した守るべき森。指定解除まで他の地目に変えられない
公衆用道路の土地利用イメージ写真公衆用道路みんなが通る道路。私道でも公道でもよい
公園の土地利用イメージ写真公園公衆の遊楽のための土地
雑種地の土地利用イメージ写真雑種地(ざっしゅち)上のどれにも当てはまらない土地。鉄塔・変電所・建物のないゴルフ場など

迷子になりやすいのは最後の雑種地です。ガスタンクの敷地は宅地なのに 鉄塔の敷地は雑種地、テニスコートは宅地にくっついていれば宅地・離れていれば雑種地……と、 準則には細かい仕分けルールがびっしり書かれています。「23種類のどれにも入らなければ雑種地」 とだけ覚えておけば十分です。

地積 — 小数の出し方にクセがある

地積(ちせき)は一筆の土地の面積で、土地を真上から見たときの 水平投影面積を平方メートルで記録します。クセがあるのは端数処理です。

地目と広さ記録のしかた実測399.6923㎡なら
宅地・鉱泉地小数点以下2桁まで(1/100㎡未満切捨て)399.69㎡
それ以外の地目(10㎡超)1㎡未満切捨て・小数は書かない399㎡(「399.00㎡」とはしない)
10㎡以下の土地地目に関係なく小数点以下2桁まで(例: 実測9.9923㎡ → 9.99㎡)

原本の帳票では、この小数部は小数点を打たずに少し離して印字されます。 「330 00」とあったら330.00㎡のことです。この章の原本ビューでもその作法を再現しています。

原因及びその日付・登記の日付

新しく土地が生まれて表題登記をしたときは、「令和○年○月○日公有水面埋立」のように 登記原因と日付が記録されます。一方、分筆・合筆は登記官が登記をしてはじめて効力が生じるので、 原因の日付は記録されません(このルールはあとで何度も出てきます)。 〔 〕で囲まれた「登記の日付」は登記が完了した日です。表示に関する登記は 原則として実地調査をしてから実行されるため、申請を受け付けた日とズレることがあります。

土地の表題登記 — プロフィール帳の1ページ目を作る

登記のうち最初にされる登記を表題登記といいます。表題登記によってはじめて 表題部が作られます。表題部は登記簿の表紙のようなものなので、これがない土地には 甲区も乙区もありません。

表題登記をするのは、公有水面を埋め立てて新しい土地が生まれた場合や、昔からあるのに 登記されていなかった土地(たとえば水路だった土地を国から買った場合)です。 所有権を取得した人は取得の日から1か月以内に申請しなければならず、 怠ると10万円以下の過料に処されます(法36条・164条)。 いつ生まれたかわからない土地の原因欄には、単に「不詳」と記録されます。 共有の土地なら、所有者欄に「持分3分の2 甲野太郎」のように持分も記録されます。

共有の土地の表題登記 — 持分も記録される

昔からあるのに登記されていなかった土地を、2人で共有している場合の記録例です。 原因欄の「不詳」と、所有者欄の持分に注目してください。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
31番宅地100  00不詳 〔令和○年○月○日〕
所有者甲市乙町二丁目2番8号 持分3分の2 甲野太郎 甲市乙町二丁目2番8号 持分3分の1 甲野次郎

共有の土地の表題登記の分解(31番)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番 31番昔からあったのに登記されていなかった土地に、新しく付いた背番号
地目・地積 宅地 100.00㎡宅地なので小数2桁まで。ぴったりでも「100.00」と書く
原因及びその日付 不詳〔令和○年○月○日〕いつ生まれたかわからない土地は、理由欄に正直に「不詳(わからない)」と書く
所有者(持分3分の2) (もちぶん)甲市乙町二丁目2番8号 甲野太郎共有の土地は、持ち主ごとに「何分のいくつ」の持分が記録される
所有者(持分3分の1) 甲市乙町二丁目2番8号 甲野次郎2人で3分の2+3分の1=ちょうど1。持分を全部足すと必ず1になる

変更・更正の登記 — 自己紹介の書き直し

所在・地目・地積が変わったり、間違っていたりしたら、現況と一致させる登記をします。 あとから変わったことを直すのが変更登記、最初から間違っていたことを直すのが 更正(こうせい)登記です。地目・地積の変更登記は変更から1か月以内の申請義務があり、 怠ると過料です。更正登記に期限はありません(原因日付が登記されないので、 「いつから1か月」かを特定できないため、と説明されています)。

所在の変更 — 行政区画の名称が変わったら

市町村合併や町名変更で行政区画の名称が変わると、土地は1ミリも動いていないのに 所在の表示が変わります。これは持ち主の申請を待たず、登記官が職権で速やかに 書き換えます(規則92条2項)。変更前の所在には下線を引き、変更したことがわかるようにします。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町一丁目余白
甲市丙町二丁目平成○年4月1日変更 平成○年4月1日登記
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
(省略)(省略)(省略)(省略)

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

行政区画の名称変更の分解

項目記録されている内容やさしく言うと
所在(変更前) 甲市乙町一丁目(下線つき)町の名前が変わる前の住所。消さずに下線で「もう古い」と示す
所在(変更後) 甲市丙町二丁目新しい町名。土地は1ミリも動いていないのに所在の表示だけ変わる
原因 平成○年4月1日変更 平成○年4月1日登記町名変更は登記官が職権(自分の権限)で書き換える。持ち主の申請はいらない
地番・地目・地積 (省略)土地そのものは何も変わっていないので、この記録例では省略されている

地目の変更 — 土地の「転職届」

山林だった土地を整地して資材置き場にした、というように土地の職業が変わったら 地目変更の登記をします。原本の見た目はこうです。 変更前の「山林」に下線が引かれ、原因欄の先頭に「②」が付いていることに注目してください。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
50番山林150余白
余白雑種地余白②令和○年6月1日地目変更 〔令和○年6月7日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

同じ内容を分解すると、こうなります。

地目変更の分解(50番の土地・山林→雑種地)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番 (ちばん)50番土地の背番号。地目が変わっても番号はそのまま
変更前の地目 (ちもく)山林(下線つき)前の職業は「山林」。消しゴムで消さずに下線で「もう違う」と示す
変更後の地目 雑種地今の職業は「雑種地」。土地の職業変更(転職届)が受理された状態
地積 (ちせき)150㎡広さは変わっていないので記録もそのまま(原因欄の対象は②地目だけ)
原因及びその日付 ②令和○年6月1日地目変更〔令和○年6月7日〕先頭の②は「②の欄(地目)が変わった」という意味の番号。〔 〕内は登記が完了した日

原因欄の先頭の②は「②の欄(地目)が変わった」という意味の番号です。 列見出しの「①地番 ②地目 ③地積」と対応していて、どの欄が動いたかを指しています。 この読み方さえ覚えれば、この章の記録例はぜんぶ読めます。 なお、最初から地目が間違って登記されていた場合(更正)は「②錯誤(さくご)」と記録され、 日付は書かれません。

地目の変更で地積の表示まで変わる例

ちょっと面白いのは、地目が変わると地積の表示まで変わることがある点です。 畑990㎡を宅地に変更すると、宅地は小数2桁まで記録するルールなので「②③平成○年1月26日地目変更」として 地積も990.50㎡に書き換わります。土地が広くなったわけではなく、表示の桁数が変わっただけです。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
31番990余白
余白宅地990  50②③平成○年1月26日地目変更 〔平成○年○月○日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

地目変更で地積の表示も変わる例の分解(31番・畑→宅地)

項目記録されている内容やさしく言うと
地目(変更前) 畑(下線つき)前の職業は畑。畑の地積は1㎡未満を切り捨てるので小数なし
地目(変更後) 宅地家を建てたので職業が宅地に変わった
地積(変更前) 990㎡(下線つき)畑ルールの表示。小数は書かない
地積(変更後) 990.50㎡宅地は小数2桁ルールなので地積の表示も書き直し。土地が広くなったわけではない
原因及びその日付 ②③平成○年1月26日地目変更〔平成○年○月○日〕原因は地目変更ひとつなのに、②(地目)と③(地積)の2つの欄が動いたという印

原因は地目変更ひとつなのに、原因欄の先頭が「②③」と2つ並ぶのがポイントです。 また、田や畑を別の地目に変える(農地転用)には都道府県知事等の許可が必要で、 登記申請にも許可書を添付します。

地積の変更・更正 — 海に沈むと減り、砂がたまると増える

土地の一部が海に沈めば地積は減り、川の砂が積もって陸地になれば増えます。 一部海没なら「③令和○年6月1日一部海没」のように記録されます。 測ってみたら最初から登記簿の広さが間違っていた、という場合は地積の更正登記で、 原因は「③錯誤」・日付なし。変更でも更正でも、申請には地積測量図を提出します。

変更登記更正登記
何を直すあとから現況が変わった最初から間違っていた
原因欄の書き方「②令和○年6月1日地目変更」のように日付つき「②錯誤」のように日付なし
申請期限変更から1か月以内(怠ると10万円以下の過料)期限なし

地積の変更の記録例 — 一部海没

宅地495.68㎡の一部が海に沈んで446.28㎡に痩せた記録例です。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
50番宅地495  68余白
余白余白446  28③令和○年6月1日一部海没 〔令和○年7月7日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

地積の変更の分解(50番・一部海没)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番 50番土地の一部が海に沈んでも背番号は変わらない
地積(変更前) 495.68㎡(下線つき)沈む前の広さ。下線で「もう古い」と示す
地積(変更後) 446.28㎡海に沈んだぶん(約49㎡)だけ痩せた今の広さ
原因及びその日付 ③令和○年6月1日一部海没〔令和○年7月7日〕「③の欄(地積)が6月1日の一部海没で変わった。登記が終わったのは7月7日」

地積の更正の記録例 — 「③錯誤」に日付はない

こちらは測量し直したら最初から広さが間違っていた記録例。原因欄が 「③錯誤」だけで日付がないのが、変更との見分けポイントです。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
47番3宅地97  23余白
余白余白100  50③錯誤 〔令和○年○月○日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

地積の更正の分解(47番3)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番 47番3測り直したら登記簿の広さが最初から間違っていた土地
地積(更正前) 97.23㎡(下線つき)間違っていた広さ。間違いも消さずに下線で残す
地積(更正後) 100.50㎡測量し直した本当の広さ。地積測量図を付けて申請する
原因及びその日付 ③錯誤〔令和○年○月○日〕錯誤(さくご)=最初からの間違い。あとから変わったのではないので原因に日付がない

分筆 — ようかんを切り分ける

分筆(ぶんぴつ)は、一筆の土地を切り分けて数筆にすることです。 ようかん1本を2切れにするイメージですが、大事なのは 切った瞬間ではなく、登記官が登記をしてはじめて効力が生じること。 だから原因欄に日付は記録されません。申請できるのは表題部所有者または所有権の登記名義人で、 共有の土地なら、令和3年の民法改正により持分の合計が過半数になる共有者から 申請できるようになりました(令和5年4月施行。申請しなかった共有者には登記完了の通知が届きます)。

切ったあとの地番の付け方

分筆前分筆後ルール
25番25番1 と 25番2元の番号に枝番(支号)を付ける
25番1(すでに枝番つき)25番1 と 25番3元地はそのまま、新地には「その本番の最終の支号の次」を付ける
分筆のたびに枝番が増える — 元地は番号そのまま、新地は最終支号の次25番25番125番225番125番325番2色付きは切り分けられる元地。25番1をさらに切ると、新地には最終支号の次「25番3」が付く

出典: 『わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方』p.41(PDF p.55)の図を再作成

以下の記録例は、25番の土地AをA・Bの二筆に切り(25番1と25番2)、 その後さらにAをA・Cに切った(25番1と25番3)場合です。

記録例の前提 — A(25番)をA・Bに分筆し、さらにAをA・Cに分筆25番A25番1A25番2B25番1A25番3C25番2B色付きが元地A。Bは1回目、Cは2回目の分筆で新しくできた土地

出典: 『わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方』p.41(PDF p.55)の図を再作成

元地(A地)の登記簿はこう動く

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
25番宅地240  45余白
25番1余白76  23①③ 25番1、25番2に分筆 〔平成○年4月1日〕
余白余白43  77③ 25番1、25番3に分筆 〔平成○年5月7日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

下線が3か所あります。地番「25番」(25番1に変わった)、 地積「240.45」(1回目の分筆で76.23に減った)、 そして「76.23」自身(2回目の分筆で43.77に減った)。 切るたびに古い記録に下線を引いて新しい行を足すので、 下から上へ読むと土地が痩せていく歴史がそのまま残ります。

分筆の分解(元地A地・25番 → 25番1)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番(変更前) 25番(下線つき)切り分ける前の背番号。1回目の分筆で効力を失った
地番(変更後) 25番1切り分けたら元の土地にも枝番(支号)が付く。25番という番号は二度と使われない
地積(分筆前) 240.45㎡(下線つき)ようかん1本まるごとの広さ
1回目の分筆 地積76.23㎡ /「①③ 25番1、25番2に分筆」〔平成○年4月1日〕ようかんを2切れにした。①(地番)と③(地積)の欄が変わったという意味。日付がないのは、登記した瞬間に効力が生じるから
2回目の分筆 地積43.77㎡ /「③ 25番1、25番3に分筆」〔平成○年5月7日〕さらにもう1回切った。枝番つきの土地を切っても自分の番号は変わらないので、③(地積)だけが変わる

A地の甲区 — 分筆しても何も増えない

意外かもしれませんが、分筆してもA地の甲区には新しい登記事項がひとつも増えません。 持ち主が変わったわけではないからです。

権 利 部(甲区) (所有権に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1所有権移転平成○年○月○日
第○号
原因 平成○年○月○日売買
所有者 ○市○町○番○号 甲野太郎
2所有権移転平成12年3月30日
第9086号
原因 平成12年3月30日売買
所有者 港区○五丁目1番23号 株式会社A

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分筆後のA地の権利部(甲区)— 新しい登記事項はない

  1. 1番所有権移転受付 平成○年○月○日 第○号

    分筆の前からある昔の持ち主の記録。分筆しても甲区には新しい登記が1行も増えない。

    原因
    平成○年○月○日売買
    所有者
    ○市○町○番○号 甲野太郎
  2. 2番所有権移転受付 平成12年3月30日 第9086号

    今の持ち主の記録。「今も効力のある」この2番だけが、あとで生まれたB地の登記簿に転写される。

    原因
    平成12年3月30日売買
    所有者
    港区○五丁目1番23号 株式会社A

A地の乙区 — 職権で「共同担保」の付記が入る

A地に抵当権が付いていた場合は話が変わります。分筆で担保の対象が2筆になるので、 登記官が職権で共同担保目録を作り、乙区の抵当権に付記します。 職権による登記なので受付欄は余白のままです。

権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1抵当権設定(省略)
 (省略)
付記1号1番抵当権変更余白
共同担保 目録(あ) 第○号
平成○年4月1日付記 

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分筆後のA地の権利部(乙区)— 共同担保になった職権付記

  1. 1番抵当権設定受付 (省略)

    A地に分筆前から付いている抵当権。本では中身が省略されている。

    (省略)
  2. 1番 付記1号1番抵当権変更受付 余白

    分筆で担保の対象が2筆に増えたので、登記官が職権で共同担保目録を作ってここに書き足した。職権だから受付欄は余白。付記の日付は分筆登記の日。

    共同担保
    目録(あ) 第○号
    平成○年4月1日付記

共同担保目録 — 担保チームの名簿

付記から参照される共同担保目録の実物はこうです。25番1(A地)と25番2(B地)が 同じ借金を支える担保チームになったことがわかります。

共同担保目録
記号及び番号(あ) 第○号調製平成○年○月○日
番 号担保の目的である権利の表示順位番号予 備
1甲市乙町二丁目 25番1の土地1余白
2甲市乙町二丁目 25番2の土地1余白

共同担保目録の分解(分筆時に職権で作成)

項目記録されている内容やさしく言うと
記号及び番号 (あ) 第○号担保チームの整理番号。乙区の付記から「目録(あ)第○号」で参照される
調製 (ちょうせい)平成○年○月○日この目録を登記官が作った日=分筆登記の日
番号1 甲市乙町二丁目 25番1の土地(順位番号1)元のA地。順位番号1はその土地の乙区での抵当権の番号
番号2 甲市乙町二丁目 25番2の土地(順位番号1)分筆で生まれたB地。2筆が同じ借金を支える担保チームになった

新しくできた土地(B地)の登記簿

切り分けられたB地(25番2)には、まっさらな登記記録が新しく作られます。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
25番2宅地164  2125番から分筆 〔平成○年4月1日〕

分筆の分解(新しくできたB地・25番2)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番 25番2生まれたばかりの土地に付いた新しい背番号
地目 宅地切り分けても職業は元の土地と同じ
地積 164.21㎡切り分けられた自分の取り分の広さ
原因及びその日付 25番から分筆〔平成○年4月1日〕「25番という土地から切り分けられて生まれました」という出生記録。ここにも原因の日付はない

権利の引っ越し — 「転写」

B地の登記記録は生まれたばかりで権利部が空っぽです。そこで登記官は、 A地の登記簿から現在効力のある登記だけを書き写します。 これを転写(てんしゃ)といいます(規則102条)。 過去の持ち主の歴史はコピーされず、「今の状態」だけが引っ越してくるのがポイントです。

権 利 部(甲区) (所有権に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1所有権移転平成12年3月30日
第9086号
原因 平成12年3月30日売買
所有者 港区○五丁目1番23号 株式会社A
 順位2番の登記を転写 平成○年3月28日受付 第23099号

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分筆でできたB地の権利部(甲区)— A地から転写

  1. 1番所有権移転受付 平成12年3月30日 第9086号

    生まれたばかりのB地の登記簿に、元のA地の「今も効力のある持ち主の記録」だけを書き写した。これを転写という。末尾の受付番号は分筆登記のもの。

    原因
    平成12年3月30日売買
    所有者
    港区○五丁目1番23号 株式会社A
    順位2番の登記を転写 平成○年3月28日受付 第23099号

乙区の抵当権も同じように転写されます。末尾に共同担保目録の記号と 分筆登記の受付年月日・受付番号が書き足されるのが甲区との違いです。

権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1抵当権設定(省略)
 (前略)
順位1番の登記を転写 
共同担保 目録(あ) 第○号
平成○年3月28日受付 第23099号

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分筆でできたB地の権利部(乙区)— A地から転写

  1. 1番抵当権設定受付 (省略)

    A地の乙区1番の抵当権をB地の登記簿に書き写した(転写)。共同担保目録の記号も一緒に記録され、末尾の受付年月日・受付番号は分筆登記のもの。

    (前略)
    順位1番の登記を転写
    共同担保
    目録(あ) 第○号
    平成○年3月28日受付
    第23099号

抵当権を外したいとき — 消滅承諾の職権付記

抵当権が付いた土地を分筆すると、分筆後の両方の土地に抵当権が及ぶのが原則です。 逆に抵当権を外したい場合は、抵当権者の消滅承諾書(印鑑証明書付き)を 添付すれば外せます(法40条)。その場合の登記も登記官の職権でされるので、 受付年月日・受付番号は記録されません。まず、A地の抵当権そのものが 消滅承諾で抹消された例。行ぜんぶに下線が引かれます。

権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1抵当権設定(省略)
 (省略)
付記1号1番抵当権抹消余白
原因 消滅承諾
平成○年4月1日付記 

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分筆後のA地の権利部(乙区)— 消滅承諾による抵当権の抹消

  1. 1番抵当権設定受付 (省略)

    すぐ下の付記で抹消された抵当権。順位番号から事項まで、行ぜんぶに下線が引かれる。

    (省略)
  2. 1番 付記1号1番抵当権抹消受付 余白

    抵当権者が「この土地の抵当権は消してOK」と承諾(消滅承諾)したので、登記官が職権で抹消した。受付欄は余白のまま。

    原因
    消滅承諾
    平成○年4月1日付記

次は、分筆で生まれるB地のほうだけ抵当権を外した例。A地ではまだ生きている 抵当権なので下線は引かれず、「25番2の土地につき消滅」という付記だけが入ります。 この場合、B地の登記簿には抵当権が転写されません。

権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
3抵当権設定(省略)
 (省略)
付記1号分筆後の25番2の土地につき3番抵当権消滅余白
平成○年4月1日付記 

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

分筆後のA地の権利部(乙区)— B地につき抵当権消滅の職権付記

  1. 3番抵当権設定受付 (省略)

    A地ではまだ生きている抵当権。だからこちらの行には下線が引かれない。

    (省略)
  2. 3番 付記1号分筆後の25番2の土地につき3番抵当権消滅受付 余白

    「分筆で生まれた25番2(B地)にはこの抵当権は及びません」というお知らせ。この場合、B地の登記簿には抵当権が転写されない。

    平成○年4月1日付記

2回目の分筆で生まれたC地(25番3)の登記簿

25番1をさらに切ってできたC地にも、B地と同じ形のまっさらな登記記録が作られます。 原因欄が「25番1から分筆」になっている点だけが違います。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町二丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
25番3宅地32  4625番1から分筆 〔平成○年5月7日〕

分筆の分解(2回目で生まれたC地・25番3)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番 25番325番1を切ったのに「25番1の1」ではなく、本番25番の最終の枝番の次(25番3)が付く
地目・地積 宅地 32.46㎡2回目の分筆で切り分けられた取り分
原因及びその日付 25番1から分筆〔平成○年5月7日〕「25番1という土地から切り分けられて生まれました」という出生記録。原因の日付はやはりない

Q&A 切り分けたら合計が合わない?

25番1(43.77㎡)・25番2(164.21㎡)・25番3(32.46㎡)を合計すると240.44㎡。 分筆前の240.45㎡より0.01㎡少なくなっています。間違いではありません。 宅地は1/100㎡未満を切り捨てて記録するため、切るたびに端数が捨てられるからです (実測43.7723+164.2180+32.4642=240.4545㎡ → 切捨て後の合計は240.44㎡)。 ようかんを切ると、包丁に少しずつくっついて目減りするのと同じです。

合筆 — 切ったようかんをくっつける

合筆(「がっぴつ」または「ごうひつ」)は、数筆の土地を合併して 一筆にすることです。これも登記が完了してはじめて効力が生じます。 合筆後の地番は合筆前の首位の地番(いちばん若い番号)になります。 25番・26番・27番をくっつければ「25番」、1番1・1番2・1番3なら「1番1」です。 残らなかった地番の登記記録は閉鎖され、その地番は原則として再使用されません。

合筆できない6つのパターン(法41条)

なんでもくっつけられるわけではありません。次の場合は合筆の登記ができません。

#できない合筆やさしく言うと
1相互に接続していない土地離れた土地どうしはくっつけられない
2地目または地番区域が相互に異なる土地職業(地目)や住所のグループ(地番区域)が違う土地はダメ
3表題部所有者または所有権の登記名義人が相互に異なる土地持ち主が違う土地はダメ
4表題部所有者または所有権の登記名義人の持分が相互に異なる土地共有の割合(持分)が違う土地はダメ
5所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地甲区がある土地とない土地の組み合わせはダメ
6所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(規則105条の例外を除く)抵当権などが付いた土地は原則ダメ。ただし「全部の土地に同じ担保権」などの例外あり

6番目には例外があります。たとえば合筆するすべての土地に、登記の目的・受付年月日・ 受付番号・登記原因と日付が同一の抵当権が付いている場合は、合筆しても権利関係が 複雑にならないので認められます(規則105条2号)。 なお、合筆の申請には合筆前のいずれか一筆の登記識別情報(いわゆる権利証)を提供します。 合筆後の地積測量図は提出しないので、合筆後の土地の測量図は登記所にはない、 という実務の小ネタも覚えておくと役に立ちます。

生き残るA地(3番)の登記簿

以下は、3番の土地Aに4番の土地B(275.50㎡)を合筆した例です。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
3番宅地550  50余白
余白余白826  00③ 4番を合筆 〔令和○年○月○日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

合筆の分解(生き残るA地・3番)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番 3番(変更なし)合筆では「首位の地番」(いちばん若い番号)が生き残る。3番と4番なら3番が残る
地積(合筆前) 550.50㎡(下線つき)くっつける前の自分の広さ
地積(合筆後) 826.00㎡4番の275.50㎡を吸収して大きくなった(550.50+275.50=826.00)
原因及びその日付 ③ 4番を合筆〔令和○年○月○日〕「③の欄(地積)が、4番を吸収して変わりました」。合筆も登記してはじめて効力が生じるので原因の日付はない

A地の甲区 — 「合併による所有権登記」が入る

所有権の登記がある土地を合筆すると、生き残ったA地の甲区には登記官が 「合併による所有権登記」を記録します(規則107条1項)。 受付年月日・受付番号は今回の合筆登記のものです。

権 利 部(甲区) (所有権に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
5合併による所有権登記令和○年○月○日
第○号
所有者 ○市○町○番○号 甲野太郎

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

合筆後のA地の権利部(甲区)— 合併による所有権登記

  1. 5番合併による所有権登記受付 令和○年○月○日 第○号

    所有権の登記がある土地を合筆すると、登記官が「合併による所有権登記」を新しく記録する。受付年月日・受付番号は今回の合筆登記のもの。

    所有者
    ○市○町○番○号 甲野太郎

A地の乙区 — 担保は合筆後の土地全部へ

抵当権付きの土地どうしを合筆した場合は、乙区の抵当権に 「1番登記は合併後の土地の全部に関する」という付記が入り、 担保が合筆後の土地全体に及ぶことが示されます(規則107条6項)。 規則上は「合筆後」と書かれるべきところ、民事局の記録例集にならって 実際の登記簿でも「合併後」と記録されている例が多い、と本書は説明しています。

権 利 部(乙区) (所有権以外の権利に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1抵当権設定(省略)
 (省略)
付記1号1番登記は合併後の土地の全部に関する余白
令和○年○月○日付記 

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

合筆後のA地の権利部(乙区)— 担保が合筆後の土地全部に及ぶ付記

  1. 1番抵当権設定受付 (省略)

    合筆前からA地に付いている抵当権。

    (省略)
  2. 1番 付記1号1番登記は合併後の土地の全部に関する受付 余白

    「この抵当権は合筆後の土地ぜんぶに効きます」という付記。同じ内容の担保権が付いた土地どうしだから合筆が認められた(規則105条2号)。付記の日付は登記完了の日。

    令和○年○月○日付記

消えるB地(4番)はどうなる?

B地の登記簿には「3番に合筆〔令和○年○月○日同日閉鎖〕」と記録され、 登記記録そのものが閉鎖されます。あとから見たくなったら閉鎖事項証明書を請求します (第1章で出てきた7種類のひとつです)。下の原本がまさにその閉鎖事項証明書の姿。 おもしろいことに、下線は1本も引かれないまま、帳簿ごとそっくり閉じられます。

表 題 部(土地の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
地図番号余白筆界特定余白
所 在甲市乙町一丁目余白
① 地 番② 地 目③ 地 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
4番宅地275  50余白
余白余白余白3番に合筆 〔令和○年○月○日 同日閉鎖〕

合筆の分解(消えるB地・4番の閉鎖事項証明書)

項目記録されている内容やさしく言うと
地番 4番合筆で負けた(首位でない)ほうの背番号。原則として二度と使われない
地目・地積 宅地 275.50㎡吸収される直前の姿。下線は引かれないまま帳簿ごと閉じられる
原因及びその日付 3番に合筆〔令和○年○月○日 同日閉鎖〕「3番に吸収されて、同じ日にこの登記記録は閉鎖されました」。あとから見たいときは閉鎖事項証明書を請求する

建物の表題部 — 家の自己紹介欄

登記できる「建物」とは、屋根と周壁(しゅうへき・周りの壁)またはこれらに類するものがあり、 土地に定着していて、目的の用途に使える状態の建造物です(規則111条)。 微妙な線引きの例を見ると感覚がつかめます。

建物として扱う建物として扱わない
屋根のある駅の乗降場・荷物積卸場ガスタンク・石油タンク・給水タンク
屋根のある野球場・競馬場の観覧席機械の上に建てた建造物(地上に基脚・支柱があれば建物)
ガード下の店舗・倉庫、地下街・地下駐車場浮船を利用したもの(固定したものは建物)
半永久的な園芸・農耕用の温床施設アーケード付き街路、持ち運べる切符売場

共通するのは「屋根があって、動かせなくて、使える状態か」という目線です。 建物を新築したら、所有者は1か月以内に表題登記を申請しなければなりません (怠ると10万円以下の過料。土地と同じです)。

家屋番号 — 敷地の地番とおそろいの背番号

家屋番号(かおくばんごう)は建物の背番号で、 原則として敷地の地番と同じ番号が付きます。敷地が24番なら家屋番号も24番。 1つの土地に建物が2つあれば「5番の1」「5番の2」のように枝番を付け、 建物が数筆の土地にまたがっていれば床面積の多い部分がある土地の地番を使います。 ちなみに建物の所在欄は「24番」ではなく「24番地」と書かれます。 「24番の土地(番地)に建っている」という意味の「地」です。地番が「5番2」のように 枝番つきなら「5番2地」ではなく「5番地2」となります。

家屋番号は敷地の地番と同じ番号 — 支号付きならそのまま引き継ぐ家屋番号24番地番24番家屋番号25番2地番25番2

出典: 『わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方』p.60(PDF p.74)の図を再作成

2筆にまたがる建物の家屋番号は、床面積の多い方の地番家屋番号6番5番6番建物の大部分は6番の土地の上 → 家屋番号は「6番」と定める

出典: 『わかりやすい不動産登記簿の見方・読み方』p.61(PDF p.75)の図を再作成

種類 — 建物の職業は12区分+α

建物の種類は利用形態による区分で、基本は 「居宅・店舗・寄宿舎・共同住宅・事務所・旅館・料理店・工場・倉庫・車庫・発電所・変電所」の12区分です(規則113条1項)。 これに当てはまらなければ校舎・病院・公衆浴場・物置・温室など準則の追加リストから選び、 それでもなければ用途に合わせて適当に定めます。用途が2つ以上ある建物は 「居宅・店舗」のように並べて書きます。

構造 — 材料×屋根×階数の3点セット

構造は「何でできているか(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など11種)× 屋根は何か(かわらぶき・スレートぶき・陸屋根など14種)× 何階建てか(平家建・2階建・地下何階付き何階建)」の3点セットで書かれます。 「木造かわらぶき2階建」なら、木でできた、かわら屋根の、2階建ての家。 「陸屋根(ろくやね)」は傾斜のない平らな屋根のことで、ビルやマンションでよく見ます。 天井の高さ1.5メートル未満の地階・屋根裏(特殊階)は階数に数えません。 なお「平屋」ではなく「平家建」と表記します。

床面積 — 壁の中心線ではかる

床面積は各階ごとに、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の 水平投影面積で計算します(区分建物だけは壁の内側線。マンションの部屋の登記面積が パンフレットより小さい理由はこれです)。1/100㎡未満は切捨て。 屋外階段や吹抜は入れない、エレベーター室は床があるとみなして各階に算入する、 といった細かいルールがあります。記録のしかたにもクセがあって、 各階ごとに書き合計は書かない、端数がなくても「25.00」のように必ず小数2桁を記録します。

附属建物 — 母屋とセットの物置・車庫

母屋(おもや)と物置・車庫のように、別棟でも一体として使われる建物は、 所有者の意思に反しない限り一個の建物として扱われます。母屋が「主である建物」、 物置たちが附属建物(ふぞくたてもの)で、同じ登記記録に「符号1 物置」「符号2 車庫」と 番号付きで記録されます。母屋と同じ日に新築された附属建物には原因日付を書かず、 あとから建てた物置には新築日が記録されます。原本で見ると一目瞭然です。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 24番地2余白
家屋番号24番2の1余白
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
居宅木造亜鉛メッキ鋼板・かわらぶき2階建1階 115  70 2階 99  17平成○年3月2日新築 〔平成○年3月25日〕
表 題 部(附属建物の表示)
符号① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
1物置木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建13  22〔平成○年3月25日〕
2車庫木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建12  00〔平成○年3月25日〕
3物置木造ビニール板ぶき平家建10  00平成○年7月1日新築 〔平成○年7月7日〕
所有者甲市乙町二丁目1番5号 甲 某

附属建物つきの表題部の分解(24番2の1)

項目記録されている内容やさしく言うと
家屋番号 (かおくばんごう)24番2の1同じ敷地(24番2)に建物が2つ以上あるときは、地番に「の1」「の2」と枝番を付ける
主である建物 居宅 木造亜鉛メッキ鋼板・かわらぶき2階建母屋(おもや)のこと。屋根の材料が2種類あるときは「・」で並べて書く
床面積(主) 1階115.70㎡ / 2階99.17㎡各階ごとに記録し、合計は書かない
附属建物 符号1・2 (ふぞくたてもの)物置 13.22㎡ / 車庫 12.00㎡(原因日付なし)母屋と同じ日に建ったセットの建物。同じ日なら新築日は書かず、登記の日付だけ記録される
附属建物 符号3 物置 10.00㎡ 平成○年7月1日新築〔平成○年7月7日〕あとから建て増した物置。母屋と新築日が違うので、ちゃんと新築日が記録される
所有者 甲市乙町二丁目1番5号 甲某母屋も物置も車庫も、ぜんぶまとめて1個の建物として同じ登記記録に載る

この記録例には小ネタが2つ隠れています。家屋番号が「24番2の1」と 枝番つきなのは、同じ敷地(24番2)に建物が複数あるから。 そして符号1・2(母屋と同じ日に新築)には原因日付がなく、 あとから建てた符号3にだけ「平成○年7月1日新築」と記録されています。

建物の表題登記と「差押えのための表題登記」

建物を新築したら1か月以内に表題登記。ここまでは土地と同じです。 実物を原本で見てみましょう。3筆の土地にまたがって建つ、2社共有のビルの記録例です。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在渋谷区○○町10番地3、10番地1、11番地5 建物の名称 ○○ビル余白
家屋番号10番3余白
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
事務所 店舗鉄骨・鉄筋コンクリート造陸屋根地下2階付き4階建1階 213  52 2階 240  00 3階 240  00 4階 180  52 地下1階 300  00 地下2階 180  52令和○年12月1日新築 〔令和○年○月○日〕
所有者渋谷区○○町6番3号 持分2分の1 株式会社A 千代田区○○町7番8号 持分2分の1 株式会社B

建物の表題登記の分解(○○ビル・10番3)

項目記録されている内容やさしく言うと
所在 渋谷区○○町10番地3、10番地1、11番地53筆の土地にまたがって建っているので、「番地」が3つ並ぶ
建物の名称 ○○ビル区分建物でない建物に名称を定めたときは、専用の欄ではなく所在欄に記録される
家屋番号 (かおくばんごう)10番3数筆の土地にまたがる建物は、床面積がいちばん多い部分がある土地の地番を使う
種類 事務所・店舗用途が2つ以上あるので並べて書く
構造 鉄骨・鉄筋コンクリート造陸屋根地下2階付き4階建材料×屋根×階数の3点セット。陸屋根(ろくやね)は平らな屋根。「地下2階付き4階建」で地上4階・地下2階
床面積 (ゆかめんせき)1階213.52㎡・2階240.00㎡・3階240.00㎡・4階180.52㎡・地下1階300.00㎡・地下2階180.52㎡各階ごとに記録し、合計は書かない。端数がなくても「240.00」のように小数2桁まで書く
原因及びその日付 令和○年12月1日新築〔令和○年○月○日〕この建物が令和○年12月1日に新築されたとわかる。〔 〕は登記が完了した日(申請日ではない)
所有者 持分2分の1 株式会社A / 持分2分の1 株式会社B(下線なし)2社が半分ずつ持つ共有の建物。所有者に下線が引かれていない=まだ所有権の登記(甲区)がされていない

読み所は3つあります。まず、ビルのように建物に名称を定めた場合、区分建物でなければ 「建物の名称 ○○ビル」と所在欄に記録されること。名称専用の欄はありません。 次に、所有者欄の「持分2分の1」。共有の建物では土地と同じように持分が記録され、 この例では株式会社Aと株式会社Bが半分ずつ持っています。 そして表題部所有者の欄に下線が引かれていないこと。 下線がない=「まだ所有権の登記(甲区)がされていない建物」と読めます。 原因欄からは、この建物が令和○年12月1日に新築されたことがわかります。

未登記の建物が差し押さえられたら

差押えの登記をするには所有権の登記が必要で、所有権の登記をするには表題部が必要です。 では、登記されていない建物の持ち主にお金を貸した債権者が差押えをしたいときは? 答えは、登記官が職権で、表題登記→所有権保存登記→差押えの登記を一気に作るです (法76条3項)。急ぐので実地調査は後回しにして、先に登記してしまいます。

このとき作られる表題部はちょっと変わっていて、所有者と新築日が記録されません。 申し立てたのは持ち主ではなく債権者なので、建物がいつ建ったかを知らないのが普通だからです。 原因欄には「差押の登記をするため」と記録されます。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 24番地2余白
家屋番号24番2余白
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
居宅木造かわらぶき2階建1階 90  52 2階 93  00差押の登記をするため 〔令和○年7月1日〕

差押えのための表題登記の分解(24番2)

項目記録されている内容やさしく言うと
種類・構造 居宅 木造かわらぶき2階建建物の姿は登記官があとで実地調査して確かめる前提で、まず登記してしまう
床面積 1階90.52㎡ / 2階93.00㎡差押えを急ぐので、実地調査より先に記録される
原因及びその日付 差押の登記をするため〔令和○年7月1日〕新築日のかわりに「差押の登記をするため」という理由が書かれる、変わり者の原因欄
所有者・新築日 記録されない申し立てたのは持ち主ではなく債権者なので、建物がいつ建ったか知らないのが普通だから

甲区の保存登記も受付年月日・受付番号が「余白」のまま、 「令和○年7月1日順位2番の差押登記をするため登記」と理由が書かれます。 こういう登記簿を見たら「この建物は差押えをきっかけに登記された」と読めるわけです。

権 利 部(甲区) (所有権に関する事項)
順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1所有権保存余白
所有者 渋谷区○町9番1号 甲野太郎
 令和○年7月1日順位2番の差押登記をするため登記
2差押令和○年7月1日
第○号
原因 令和○年6月30日○地方裁判所強制競売開始決定
債権者 ○市○町○番○号 乙某

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

差押えのための登記の権利部(甲区)— 職権の保存登記+差押え

  1. 1番所有権保存受付 余白

    差押えの前提として登記官が職権で作った保存登記。受付欄が余白のままで、「差押登記をするため」と理由が書かれるのが目印。

    所有者
    渋谷区○町9番1号 甲野太郎
    令和○年7月1日順位2番の差押登記をするため登記
  2. 2番差押受付 令和○年7月1日 第○号

    裁判所の強制競売開始決定による差押え。これを入れるために、表題部→保存登記→差押えが職権で一気に作られた。

    原因
    令和○年6月30日○地方裁判所強制競売開始決定
    債権者
    ○市○町○番○号 乙某

建物の変更・更正登記 — 増築・取壊し・模様替え

建物の所在・種類・構造・床面積・名称、附属建物の新築などに変更があったら、 1か月以内に変更登記を申請します(怠ると過料。もうおなじみですね)。 代表選手の増築を原本で見てみましょう。

増築 — 家が大きくなったら③が動く

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 24番地2余白
家屋番号24番2余白
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
居宅木造スレートぶき平家建95  00平成○年6月6日新築 〔平成○年6月10日〕
余白余白118  17③ 令和○年7月5日増築 〔令和○年7月14日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

増築の分解(24番2の建物)

項目記録されている内容やさしく言うと
家屋番号 (かおくばんごう)24番2建物の背番号。敷地の地番(24番2)とおそろいになるのが原則
種類 (きょたく)居宅建物の職業。住むための家
構造 木造スレートぶき平家建材料(木造)×屋根(スレートぶき)×階数(平家建)の3点セット
床面積(増築前) (ゆかめんせき)95.00㎡(下線つき)部屋を建て増しする前の広さ。下線で「もう古い」と示す
床面積(増築後) 118.17㎡建て増し後の今の広さ。何回増築しても、記録されるのは最後の姿だけ
原因及びその日付 ③ 令和○年7月5日増築〔令和○年7月14日〕「③の欄(床面積)が7月5日の増築で変わりました。登記が終わったのは7月14日」

読み方は土地の地目変更とまったく同じです。「③令和○年7月5日増築」の③は 「③の欄(床面積)が変わった」という意味。古い床面積95.00に下線が引かれ、 新しい118.17が下の行に足されています。増築を何回くり返しても、 記録されるのは最後の床面積と最後の増築日だけです。

一部取壊し+増築 — 中間の姿は記録されない

一部を取り壊してから建て増した場合は、取壊しと増築の両方の日付が 原因欄に並びます。取り壊した直後の「中間の床面積」は記録されず、 登記簿に残るのは最終の姿だけです。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 24番地2余白
家屋番号24番2余白
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
居宅木造かわらぶき平家建60  42平成○年6月6日新築 〔平成○年6月10日〕
余白余白95  00③令和○年7月5日一部取壊し、 令和○年7月10日増築 〔令和○年7月14日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

一部取壊し+増築の分解(24番2の建物)

項目記録されている内容やさしく言うと
床面積(変更前) 60.42㎡(下線つき)工事前の広さ
床面積(変更後) 95.00㎡一部を取り壊した直後の「中間の床面積」は記録されない。残るのは最終の姿だけ
原因及びその日付 ③令和○年7月5日一部取壊し、令和○年7月10日増築〔令和○年7月14日〕取壊しと増築の日付が違うので、両方の日付を省略せずに書く。同じ日なら「一部取壊し、増築」とまとめる

原因欄の読み方パターン集

建物の変更・更正は組み合わせが多いので、原因欄の書かれ方をパターンで覚えるのが早道です。 ①種類・②構造・③床面積、という欄番号さえ押さえれば全部読めます。

起きたこと原因欄の記録
増築した③令和○年7月5日増築
一部を取り壊してから増築した(日付が違う)③令和○年7月5日一部取壊し、令和○年7月10日増築
構造が変わり、同じ日に増築もした②③令和○年6月15日変更、増築
種類と構造が別の日に変わった①令和○年6月5日変更 ②令和○年7月6日変更
最初から構造・床面積が間違っていた(更正)②③錯誤(日付なし)

一部取壊し+増築の場合、中間の「取り壊した直後の床面積」は記録されません。 登記簿に残るのは最終の姿だけです。また、構造や種類の変更の原因は単に「変更」とだけ書かれます。

増築及び構造の変更 — ②と③が同時に動く

パターン表の「②③令和○年6月15日変更、増築」を原本で確かめましょう。 平家建の家に2階を建て増した記録例です。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 24番地2余白
家屋番号24番2余白
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
居宅木造かわらぶき平家建60  42平成○年6月6日新築 〔平成○年6月10日〕
余白木造かわらぶき2階建1階 95  00 2階 66  11②③令和○年6月15日変更、増築 〔令和○年7月14日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

増築及び構造の変更の分解(24番2の建物)

項目記録されている内容やさしく言うと
構造(変更前) 木造かわらぶき平家建(下線つき)平家建だった頃の記録。消さずに下線で「もう古い」と示す
構造(変更後) 木造かわらぶき2階建2階を建て増したので、階数の表示が変わった
床面積(変更前) 60.42㎡(下線つき)平家建(1階だけ)だった頃の広さ
床面積(変更後) 1階95.00㎡・2階66.11㎡1階も広がり(60.42→95.00)、2階66.11㎡が新しく生まれた。各階ごとに記録し、合計は書かない
原因及びその日付 ②③令和○年6月15日変更、増築〔令和○年7月14日〕②(構造)の原因は「変更」、③(床面積)の原因は「増築」。同じ日に起きたので「②③」とまとめて記録される

2階を建て増すと床面積(③)が増えるだけでなく、階数が変わるので構造(②)も 「木造かわらぶき平家建」から「木造かわらぶき2階建」に変わります。 床面積は60.42㎡から「1階95.00㎡・2階66.11㎡」へ。2つの変更が同じ工事で同時に起きたので、 原因欄には「②③」とまとめて記録されるわけです。古い構造と床面積の両方に 下線が引かれているのも、これまでと同じ作法です。

種類及び構造の変更 — 別の日なら別々に書く

倉庫をお店に改装し(①種類の変更)、後日屋根をふき替えた(②構造の変更)記録例です。 変更の日付が違うので、原因欄に「①」と「②」が別々の日付つきで並びます。 床面積は変わっていないので、③の列は下線も追記もありません。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 24番地2余白
家屋番号24番2余白
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
倉庫木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建60  42平成○年6月6日新築 〔平成○年6月10日〕
店舗木造かわらぶき平家建余白①令和○年6月5日変更 ②令和○年7月6日変更 〔令和○年7月14日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

種類及び構造の変更の分解(24番2の建物)

項目記録されている内容やさしく言うと
種類(変更前→変更後) 倉庫(下線つき)→ 店舗建物の職業が倉庫からお店に変わった
構造(変更前→変更後) 木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建(下線つき)→ 木造かわらぶき平家建屋根を亜鉛メッキ鋼板からかわらにふき替えた
床面積 60.42㎡(下線なし・変更後の行は余白)広さは変わっていないので下線も新しい記録もない
原因及びその日付 ①令和○年6月5日変更 ②令和○年7月6日変更〔令和○年7月14日〕①(種類)と②(構造)が別の日に変わったので、別々に書く。原因はどちらも単に「変更」とだけ記録される

構造及び床面積の更正 — 「②③錯誤」で日付なし

最初から構造と床面積が間違って登記されていた場合の更正登記です。 パターン表の最後の行「②③錯誤(日付なし)」を原本で確かめましょう。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 24番地2余白
家屋番号24番2余白
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
居宅木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建60  42平成○年6月6日新築 〔平成○年6月10日〕
余白木造かわらぶき平家建92  00②③錯誤 〔令和○年7月14日〕

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

構造及び床面積の更正の分解(24番2の建物)

項目記録されている内容やさしく言うと
構造(更正前→更正後) 木造亜鉛メッキ鋼板ぶき平家建(下線つき)→ 木造かわらぶき平家建屋根の種類が最初から間違って登記されていた
床面積(更正前→更正後) 60.42㎡(下線つき)→ 92.00㎡広さも最初から間違っていた。工事をしたわけではない
原因及びその日付 ②③錯誤〔令和○年7月14日〕錯誤=最初からの間違い。あとから変わったのではないので原因に日付がない。〔 〕は更正登記が完了した日

所在の変更 — 家は動かなくても住所が変わる

建物の所在が変わるのは、建物を壊さずにそのまま引っ越すえい行移転のような 珍しいケースだけではありません。敷地の土地が分筆・合筆されたり、 区画整理や町名変更があったりすると、建物は1ミリも動いていないのに所在の表示が変わります。 注意したいのは、土地の分筆登記をしても建物の所在は自動では変わらないこと。 地番が変わったら1か月以内に建物の所在変更の登記が必要です(家屋番号は登記官が職権で直してくれます)。 記録のされ方は土地と同じで、古い所在に下線・新しい所在を下の行に追加、です。

えい行移転 — 家ごと引っ越した記録

建物を壊さずにそのまま隣の土地(5番地→6番地)へ運んだ記録例です。 古い所在と家屋番号に下線が引かれ、原因欄に「えい行移転」と記録されます。 家屋番号のほうは登記官が職権で直してくれます(準則79条10号)。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 5番地余白
甲市乙町二丁目 6番地令和○年○月○日えい行移転 令和○年○月○日登記
家屋番号5番余白
6番令和○年○月○日変更
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
(省略)(省略)(省略)(省略)

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

えい行移転の分解(5番地→6番地)

項目記録されている内容やさしく言うと
所在(変更前) 甲市乙町二丁目 5番地(下線つき)引っ越す前に建っていた土地
所在(変更後) 甲市乙町二丁目 6番地建物を壊さずにそのまま運んで(えい行移転)、隣の土地に引っ越した
原因 令和○年○月○日えい行移転 令和○年○月○日登記家ごと引っ越した日と、登記した日が記録される
家屋番号 5番(下線つき)→ 6番 令和○年○月○日変更所在が変わると家屋番号も合わせて変わる。これは登記官が職権で直してくれる
種類・構造・床面積 (省略)建物そのものは何も変わっていないので、この記録例では省略されている

敷地の分筆で所在が変わった記録

こちらは建物が1ミリも動いていないのに、敷地の分筆で所在の表示が変わった記録例。 原因欄が「地番変更」になる点だけが、えい行移転との違いです。 この所在変更の登記は持ち主が1か月以内に申請しなければなりません。

表 題 部(主である建物の表示)調製余白不動産番号(13桁の番号)
所在図番号余白
所 在甲市乙町二丁目 24番地2余白
甲市乙町二丁目 24番地10令和○年○月○日地番変更 令和○年○月○日登記
家屋番号24番2の1余白
24番10令和○年○月○日変更
① 種 類② 構 造③ 床 面 積 ㎡原因及びその日付〔登記の日付〕
(省略)(省略)(省略)(省略)

* 下線のあるものは抹消事項であることを示す。

敷地の分筆による所在変更の分解(24番地2→24番地10)

項目記録されている内容やさしく言うと
所在(変更前) 甲市乙町二丁目 24番地2(下線つき)敷地が分筆される前の所在。建物は1ミリも動いていない
所在(変更後) 甲市乙町二丁目 24番地10敷地の土地が分筆されて、建物の建っている部分が24番10になった
原因 令和○年○月○日地番変更 令和○年○月○日登記分筆登記がされた日と地番変更の旨が記録される。この変更登記は持ち主が1か月以内に申請する
家屋番号 24番2の1(下線つき)→ 24番10 令和○年○月○日変更家屋番号のほうは登記官が職権で直してくれる

まとめ — この章で覚える3つのこと

  1. 表題部の変更は「消さずに下線、下に追記」。 原因欄の①②③は「どの欄が変わったか」を指す番号で、「錯誤」は最初からの間違い(日付なし)。
  2. 分筆・合筆は登記してはじめて効力が生じるから原因日付がない。 分筆は枝番が増えて権利は「転写」で引っ越し、合筆は首位の地番が生き残って他は閉鎖される。
  3. 表題登記・変更登記には1か月以内の申請義務(怠ると10万円以下の過料)。 地積・床面積の端数処理(宅地は小数2桁・切捨て)を知っていれば「合計が合わない」にも慌てない。

この章の記録例は、原本の帳票レイアウト(GenpyoTableDef・RightsSection)と 分解ビュー(TitleSection・イベントカード)を同じ正規化データ群から描画しています。 第2弾の拡充で、原文第2章に記録例として載っている表はすべて原本ビュー化しました (表題部系23例+権利部系9例)。値と下線は元PDFのページ画像と照合して確定しています。

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